第2期蹴上発電所・蹴上発電所 (京都市左京区)  
Keage hydroelectric power plant in the second stage
第2期蹴上発電所・蹴上発電所 第2期蹴上発電所・蹴上発電所
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第2期蹴上発電所、南西側


南西側




南西側


南西側




南西側


南西側


南西側


南西側




南東側


南東側


南東側


【参照】石額「亮天功」、関西電力株式会社の説明板より


【参照】アスペン発電所内部、琵琶湖疏水記念館展示パネルより


【参照】第1期蹴上発電所、琵琶湖疏水記念館展示パネルより


【参照】第1期蹴上発電所(1915年頃)、琵琶湖疏水記念館展示模型より


【参照】第1期蹴上発電所内部、琵琶湖疏水記念館展示模型より


【参照】1897年頃の第1期蹴上発電所内部、琵琶湖疏水記念館展示パネルより

【参照】ぺルトン水車配置図(1891年頃)、中央に水車、左右に発電機、関西電力株式会社の説明板より


【参照】第1期蹴上発電所内部、ぺルトン水車、琵琶湖疏水記念館展示模型より


【参照】第1期蹴上発電所内部、ぺルトン水車、発電機、琵琶湖疏水記念館展示模型より


【参照】第1期蹴上発電所(年代不明)、関西電力株式会社の説明板より

【参照】第1期蹴上発電所内部(1891年頃)、関西電力株式会社の説明板より


【参照】第2期蹴上発電所(1915年頃)、琵琶湖疏水記念館展示模型より


【参照】第2期蹴上発電所、琵琶湖疏水記念館展示パネルより


【参照】ペルトン式水車、琵琶湖疏水記念館



【参照】ペルトン式水車、琵琶湖疏水記念館


【参照】ペルトン式水車、琵琶湖疏水記念館


【参照】米国スンタレー式動力用発電機、琵琶湖疏水記念館


【参照】「水力発電事業発祥之地」の石標、関西電力株式会社の説明板より


水圧鉄管



【参照】インクライン(右)と水圧鉄管、関西電力株式会社の説明板より


【参照】京都電気鉄道車両、琵琶湖疏水記念館展示パネルより


【参照】京都電気鉄道車両の模型、琵琶湖疏水記念館


【参照】「IEEEマイルストーン」、琵琶湖疏水記念館
 関西電力の蹴上発電所(けあげ-はつでんしょ)は、公営電気事業としては日本最初の水力発電所になる。琵琶湖疏水の水を利用している。
 蹴上発電所には、第1期-第3期と3つの発電所が存在した。第2期発電所の発電機能は廃止されている。建屋の設計者は不明という。第3期発電所は、現在も稼働し、一般家庭5000世帯の年間電気使用量を送電し続けている。
◆歴史年表 近代、1890年、1月、第1期蹴上発電所が着工した。 
 1891年、5月、第1期蹴上発電所の一部が竣工した。11月、蹴上インクラインドラムなどに送電を開始する。[第1期] 
 1897年、5月、第1期蹴上発電所が完成した。

 1907年、10月、第2期蹴上発電所の建設工事が着工される。
 1912年、第2琵琶湖疏水が建設され、旧第1期蹴上発電所は取り壊される。5月/2月、隣接して第2期蹴上発電所が竣工した。[第2期]
  1932年、6月、第3期蹴上発電所の建設工事が着手される。
 1936年、1月、第1期蹴上発電所に南接し、第3期蹴上発電所を設立した。第2期蹴上発電所は発電機能を廃止される。[第3期]
 1942年、4月、電力事業は戦時中の配電統制令により京都市から関西配電(現・関西電力)に移管された。
 現代、1951年、5月、電気事業再編に伴い関西電力(株)に移管される。
 1955年、旧第2期蹴上発電所内に京都大学のサイクロトロンが完成する。
 1985年、サイクロトロンは閉鎖された。
 2001年、「琵琶湖疏水の発電施設群」として、第2期蹴上発電所は夷川発電所、墨染発電所とともに、「土木学会選奨土木遺産」に認定される。
 2016年、9月、蹴上発電所は米国電気電子学会 (IEEE) より「IEEEマイルストーン」に認定された。
◆建築 近代、1910年3月に第2期蹴上発電所の建設工事が着工される。1912年5月に竣工した。設計者は不明、竣工当時の図面も現存しないという。1936年に第2期蹴上発電所は発電機能を廃止されている。2001年に「琵琶湖疏水の発電施設群」として、夷川発電所、墨染発電所とともに、「土木学会選奨土木遺産」に認定される。2016年9月には米国電気電子学会(IEEE,Institute of Electrical and Electronics Engineers)より、「IEEEマイルストーン」に認定された。
 建屋の外観は、ルネッサンス調のアーチ模様の意匠になっている。装飾性は少なく、幾何学的な立面構成であり、大正期(1912-1926)建築の様式を先取りしていた。煉瓦造で要所に石材を用いる。主出入口の上部に石額「亮天功」の揮毫が掲げられている。皇族・久邇宮邦彦王(1873-1929)筆による。「天功(てんこう)を亮(たす)く」とは『書経』から引かれた。中国古代の聖天子で五帝の一人、瞬帝の勅語の一節による。「民を治めその所を得さしめる」の意味という。第3期蹴上発電所竣工時に、旧第2期蹴上発電所が取り壊されなかったのはこの石額のためだったという。
 室内の大半は吹き抜けになっていた。東側に機械室があり水車、発電機が置かれ、西は2階造で階上に配電盤、階下に変電機が設置された。戦後、京都大学がサイクロトンの研究施設として使用した際に、内部は大幅に改造されている。
 2階建、煉瓦造。高さ16.6m(55尺)、地下4.2m(14尺)、建築面積は付属水圧鉄管室を含め1059㎡(321坪)、屋根は鉄骨架構の石綿板葺。
◆蹴上発電所 蹴上発電所と呼ばれるものには、第1期、第2期、第3期と3つある。第1期蹴上発電所はすでに解体され存在しない。第2期蹴上発電所は稼働していない。第3期蹴上発電所は現役稼働している。
 近代、1888年に土木技術者・工学者・田邊朔郎(1861-1944)、実業家・高木文平(1843-1910)は、アメリカ合衆国コロラド州アスペンの銀山を視察した。現地では、ロッキー山脈から流れる水を利用し、150馬力のペルトン水車により発電していた。坑内は電燈で照らし出されていた。田邊らは、水力発電の導入を決定する。
 1890年の第1琵琶湖疏水完成後、1890年1月に第1期蹴上発電所は着工した。1891年に竣工し、11月より送電開始する。世界で2番目、日本最初の水力発電所だった。当初は蹴上インクライン、後に紡績・機械製造工場などに送電される。1892年1月に事業認可された。1892年6月から、送電設備の増設に伴い京都市内全域に送電が拡張されている。1895年に第1期蹴上発電所の送電により、京都電気鉄道(後の京都市電)は日本初の路面電車を走らせている。京都織物株式会社、京都時計株式会社、電燈、医療、娯楽施設などにも送電された。当初の送電区域は、発電所より20町(19万8347㎡)以内に制限していた。
 1912年に第2琵琶湖疏水が完成し、第1期蹴上発電所は取り壊されている。隣接して第2期蹴上発電所が竣工した。敷地1059㎡。
 1936年に第1期蹴上発電所の跡地に、第3期蹴上発電所が設立される。第3期蹴上発電所は現在も稼働している。
 1942年4月に、京都市から関西配電(株)に現物出資、移管される。1951年5月に電気事業再編に伴い関西電力(株)に移管されている。
 1952年-1985年に、旧第2期蹴上発電所内に京都大学のサイクロトロンが再建される。
 2001年に「琵琶湖疏水の発電施設群」として、第2期蹴上発電所は、夷川発電所、墨染発電所とともに、「土木学会選奨土木遺産」に認定される。
◆諸元 近代、1891年当初、第1期発電所の一部が竣工した。高水位差に適したペルトン水車2台により、エジソン式直流発電機2基を備えた。出力は160 kWだった。
 1897年5月に竣工した第1期発電所で、ペルトン水車20台、直流発電機7台、交流発電機12台に増強され、出力は1760 kWになる。
 1912年2月に竣工の第2期発電所で、横軸フランシス水車5台、アメリカ合衆国ジェネラル電気株式会社製の交流発電機5台により出力4800 kWになる。
 1936年竣工の第3期発電所により、縦軸フランシス水車2台(国産)、交流発電機2台(国産)により、出力5700 kWになる。 1979年に、出力4500 kWに変更されている。
 ◈水系名:淀川、河川名:琵琶湖疏水、級別:1、流域面積: 3690.0㎢。
 ◈発電形式 :水路式、発電方式: 流込み式、当初運転開始:1897年5月、現行施設運転開始:1979年1月、事業目的 :電気事業用。
 ◈第3期発電所は設置形式 :地上式、建屋構造 :バレル式、材質:鉄筋コンクリート、建屋面積(建坪):904.8㎡。
 ◈水車は型式: フランシス、軸方向 :立軸、設置台数:2台、総出力(定格):12573kW、入口弁型式 :バタフライ・バルブ。
 ◈発電機は 型式:同期式、 設置台数:2台。最大出力: 4500kW、常時出力: 2100kW、最大使用水量:16.70㎥/s、有効落差: 33.74m、取水位: 80.32m、放水位 : 45.93m。
 ◈設備は取水箇所数:1カ所、主要取水設備は取水河川:琵琶湖疏水、型式: 琵琶湖疏水。
 ◈水槽は種別: 普通水槽、材質: コンクリート(石張)、 縦: 15.00m、 横:10.75m、高さ:5.03m、余水路種別:暗渠(京都市所管)、余水路延長: 538.5m。
 ◈放水路は種別:無圧トンネル、総延長: 345.5m、横:2.27m、高さ:3.94m。
 水圧鉄管(管胴)は設置形態:露出管、構造・材質:普通鋼、条数: 2条、延長: 245.51m、口径:2800-2246㎜、管厚 :14-9㎜。
 ◈支台は構造:サドル、リンクガーター、数: 23個。
 ◈水圧鉄管付属設備は鉄管弁型式: バタフライ・バルブ、 伸縮継手型式:スリーフ形式。
 ◈水圧鉄管2本は、長さ350m、内径2m、高低差36m。
◆サイクロトロン 近代、1928年に日本統治下の台湾・台北帝国大学が創設され、物理学者・荒勝文策(1890-1973)は初代物理学教授として着任している。高電圧加速器を製作し、東洋初の加速器を用いた原子核反応の研究を開始した。
 他方、1915年に京都帝国大学理科大学(現・京都大学大学院理学研究科)に化学特別研究所が設置される。1936年に荒勝は京都帝大に移り、原子核物理学の研究を始めている。1939年に研究所はサイクロトロン(円形加速器)の建設を計画した。サイクロトロンとは、電磁石を用いイオンを螺旋状に加速する装置で、原子核の人工破壊、放射性同位体の製造などに利用された。1944年秋に、日本海軍は荒勝に戦時研究として原子エネルギー・原爆研究を行うことを要請した。同年にサイクロトロン電磁石が物理教室敷地内に完成する。1945年8月に、広島に原爆が投下され、荒勝らは3次にわたる放射能現地調査を行っている。11月に、アメリカ合衆国政府は、日本にある全ての粒子加速器サイクロトロンの破壊命令を下した。GHQにより、京都大学で建設中のサイクロトロンも破壊撤去される。
 戦後、1952年に荒勝を引き継いだ木村毅一(1904-1992)教授により、サイクロトロンの再建が始まる。京都大学は京都市より旧第2期蹴上発電所の建物を借り受けた。1955年12月に、サイクロトロン(105 cm)が完成する。1964年に原子核反応研究部門・原子核科学研究施設が制度化された。1968年に超高圧電子顕微鏡室(宇治市五ケ庄)を竣工し、化学研究所が統合移転される。1973年にサイクロトロンは大改修されている。
 1985年に旧第2期蹴上発電所のサイクロトロン施設は閉鎖された。
◆IEEEマイルストーン 2016年9月に、蹴上発電所は、米国電気電子学会(IEEE,Institute of Electrical and Electronics Engineers)より、技術革新の歴史的偉業を認定する賞である「IEEEマイルストーン」に認定された。
 学会(本部・ニューヨーク)は、1963年に設立され、世界160カ国以上で42万人以上の会員を擁している。出版物、国際会議、無線L創などの各種標準規格、専門的・教育的活動を行っている。
 賞は、1983年に制定された。電気・電子・情報・通信関連分野での社会・産業発展に貢献し、開発完了から25年以上経過した歴史的偉業を表彰する制度として制定された。
 2010年4月に関西電力「黒部川第四発電所」が認定されており、国内の電力会社では蹴上発電所が2例目になる。京都の建造物の認定では初例になる。
◆碑 1962年12月に構内に「水力発電事業発祥之地」の碑が設置された。
 現在、琵琶湖疏水記念館 にペルトン式水車が展示されている。蹴上発電所で20台が設置された。出力90kW。米国スンタレー式動力用発電機は、旧蹴上発電所4号機で使用された。出力60kW。
◆市電 1895年2月に七条-伏見下油間で京都電気鉄道が日本初の電車営業を始めた。車両はアメリカ合衆国製で時速6マイル(9.65km/h)だった。


原則として年号は西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
参考文献・資料 ウェブサイト「蹴上発電所の概要-関西電力」、ウェブサイト「水力発電所一覧- 関西電力」、ウェブサイト「水力発電所データベース-電力土木技術協会」、ウェブサイト「琵琶湖疏水の発電施設群- 土木学会選奨土木遺産 土木学会」、ウェブサイト「レファレンス協同データベース-京都市図書館・国立国会図書館」、ウェブサイト「京都大学化学研究所」、ウェブサイト「京都大学化学研究所-先端ビームナノ科学センター・粒子ビーム科学領域」、 ウェブサイト「荒勝文策と原子核物理学の黎明-京都大学大学文書館だより」、『京都の赤レンガ』、『琵琶湖疏水の100年 叙述編』、琵琶湖疏水の100年 資料編』、『琵琶湖疏水の散歩道』、琵琶湖疏水記念館、ウェブサイト「琵琶湖疏水記念館」、ウェブサイト「コトバンク」


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