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京都府立植物園 (京都市左京区)
Kyoto Botanical Garden
京都府立植物園 京都府立植物園 
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正門まで続くケヤキの並木




正門。遠景は北山連峰


北山門





宿根草・有用植物園




洋風庭園のヒマラヤスギの巨木







観覧温室


大典記念京都植物園設立記念碑



大文字山の借景




クスノキの並木、樹齢100年といわれ、川端康成の『古都』にも登場する。


「日本の森」



桜立体標本、樹齢80年で枯死したソメイヨシノが展示されている。


2017年の台風で倒木した樹齢100年のヒマラヤスギ


水車小屋


「こども文庫 きのこの家」










半木神社と鎮守の森なからぎの森


半木の森


針葉樹ヒマラヤシガーの巨木の森



メタセコイアの並木





バラ園




紫陽花園


竹笹園の竹林。


カキツバタ園。大木はフウ






京都野外彫刻展
 半木町(はんぎ-ちょう)に京都府立植物園(きょうとふりつ-しょくぶつえん)はある。北大路橋鴨川東岸に隣接し、北大路橋と北山橋までの鴨川河畔に、総面積25万㎡の敷地が広がる。
 植物園としては国内最大規模になる。園では、約12000種、12万本の植物を見ることができる。
◆歴史年表 近代、1913年、1月17日、大礼記念大博覧会の下鴨村での開催案を可決する。(「府会決議録」)。京都府知事・大森鐘一は、愛宕郡上賀茂村の畑地を、大正御大典記念の博覧会用地として購入した。その後、計画は取りやめになる。
 1917年、三井家の寄付により、植物園建設に変更になり竣工する。
 1923年、11月10日、第123代・大正天皇大典記念日に「大典記念京都植物園」が竣工した。(「京都日出新聞」)
 1924年、1月1日、「大典記念京都植物園」として開園した。実質的な造園設計は、明治神宮造営局の寺崎良策による。初代・観覧温室も設けられる。
 1930年、5月18日、昭和記念館が竣工した。(「京都日出新聞」)
 1933年、子ども用プール(長さ25m、幅12m)が完成した。
 1934年、9月、室戸台風により園内の樹木・建物が大きな被害を受けた。海外との種子交換が行われる。
 1935年、6月、豪雨による鴨川氾濫により園内が泥土で埋まる。
 第2次大戦(1939-1945)中、園内に菜園が設けられ食糧増産の場になる。温室のガラスは、光を反射して敵機の目印になるという理由により撤去された。
 現代、1945年、戦後に駐留米軍に接取される。園内に米軍の家族用の宅地が建設された。一般人の入園は禁じられる。
 1946年、10月、連合軍に全面接収される。家屋・道路工事が始まる。
 1951年、2月、昭和記念館が焼失した。
 1957年、12月12日、駐留米軍の接収解除により、京都府への全面返還が行われる。(「京都新聞」)。整備が進められる。かつて25000本あった樹木、サクラなどの多くが伐り倒され6000本まで減っていた。全国の植物園より植物が贈られた。
 1959年、12月22日、「京都府立植物園」に改称する。(府組織規程)
 1960年、8月、園内各所で再建工事が行われた。
 1961年、2代目・ドーム型温室が建てられる。4月25日、有料により再開園した。
 1970年、4月25日、再開10周年を記念し、「日本の森(植物生態圏)」が公開された。(「京都新聞」)
 1981年、「洋風花壇(洋風庭園)」を公開した。
 1992年、4月、3代目・観覧温室(延床面積4,612㎡)、植物園会館が開館した。日本最大級の観覧温室になる。12月、北山門が完成する。
 2004年、開園80周年記念式を挙行した。
 2018年、9月、台風21号により倒木被害がある。
◆大森 鐘一 江戸時代後期-近代の枢密顧問官・貴院議員・江戸時代後期-近代の大森 鐘一(おおもり-しょういち、1856-1927)。
男性。駿河国(静岡県静岡市)の生まれ。幕臣の子。1869年、静岡学問所に入学し、1871年、同所教授になる。のち上京し林欽次の塾生になりフランス法学を学ぶ。陸軍造兵司、陸軍省、司法省を経て、1880年、太政官権書記官になった。1885年、欧州へ出張し、ドイツの自治制度を調査した。帰国後、御雇教師・モッセらと共に市制・町村制の制定に従事した。1890年、内務省県治局長になり、1892年、警保局長を兼務する。1893年、長崎県知、1897年、兵庫県知事、1900年、内務総務長官、1902年、京都府知事を歴任した。1909年、貴族院議員、1915年、男爵になり、第123代・大正天皇即位大礼事務官を務める。1916年、皇后宮大夫になり、1923年、枢密顧問官を兼任した。71歳。
◆寺崎 良策 近代の寺崎 良策(?-?)。詳細不明。男性。明治神宮の神苑の設計技手・東京帝国大学駒場農場も兼務していた。京都府立植物園技師(後に主任)になる。1923年、一般財団法人 京都園芸倶楽部設立の発起人の一人になる。
◆開園の経緯 近代、1912年に京都府は、第123代・大正天皇(1879-1926)の即位記念の大正御大典記念博覧会を下鴨で開催する計画を立てた。
 1913年に、京都府知事・大森鐘一(1856-1927)は、愛宕郡上賀茂村の畑地10万坪(33.5万㎡)の田畑を買収する。その後、この地は交通の便が悪く、経費もかさむとして反対の声があがる。大蔵省・閣議で許可は得られず、博覧会開催は中止になる。
 京都府は土地の再利用について、独力による植物園の建設を計画するものの府会で否決される。その後、日本初の公共総合植物園の開園が決定した。当時の国内には、すでに東京帝国大学(現・東京大学)付属の「小石川植物園」、東北帝国大学農科大学(現・北海道大学農学部の前身)付属の「札幌植物園」があった。これらは、大学の研究のための施設にすぎなかった。
 1913年11月に三井家は、京都市に25万円を寄付し、1917年4月に植物園建設工事が着工する。三井家としては、京都での大礼挙行記念に尽力しようと考えていた。1920年には、三井家同族会は京都市に30万円を寄付している。
 1924年1月1日に「大典記念京都植物園」として開園になる。日本最初の本格的な公立植物園だった。当初は、西洋庭園・日本風自然庭園・温室・大正記念館、大森府知事、総領家当主・三井八郎右衞門高棟の寄付をもとにした「大森文庫」(稀少本、明代の李時珍著『本草網目』、ほか3000冊所蔵)、運動場、茶店5軒もあった。
 当時の入園料は大人5銭、子ども2銭だった。下駄履きにより芝生・バラ園などが荒れるとして草履履きに履替えになった。
◆園内紹介 樹齢80年以上のケヤキの並木が園の正門へ導く。園内には、開園当初に植えられた樹齢90年以上のクスノキの並木(88本、200m)がある。針葉樹林、もみじの森、「日本の森」では、各地で見られる日本の自然が再現されている。100種類に及ぶ竹笹園も貴重な展示になっている。
 そのほか、植物生態圏、シャクヤク園、カキツバタ園、アジサイ園、ハナショウブ園、バラ園、ツバキ園などがある。沈床花壇、洋風庭園、宿根草・有用植物園、盆栽・鉢物展示場、日本で最大級の観覧温室(4500種、2万5,000本)がある。植物園会館には図書室などの施設もある。
 近代、1934年から、海外との種子交換が行われ、世界の植物が収集されている。
 こどもを対象とした、遊戯施設「未来くん広場」、自然についての絵本などがある「こども文庫 きのこの家」も人気がある。
◆なからぎの森・半木神社 「なからぎの森」には、以前より祀られていた上賀茂神社の境外末社、半木(なからぎ)神社が残されている。第二次世界大戦後、進駐軍のクラブハウスの計画があった。園側の説得により撤回されたという。
 この鎮守の森には、山城盆地にかつてみられた自然植生が残されている。森には、エノキ、ムクノキ、ケヤキ、サイカチ、カツラ、カエデなどの落葉樹、シイ、カシ、シロダモ、カゴノキなどの常緑樹が混交している。
◆サクラ 植物園はサクラの名所としても知られている。「サクラ園」もある。
 園内には約70種500本のサクラ(ソメイヨシノ、ヤマザクラ、シダレザクラ、サトザクラ)などがある。早咲きのカラミザクラ、トウカイザクラ、オカメなどは3月下旬から開花する。ソメイヨシノは4月上旬、シダレザクラは4月中旬が見頃になる。4月下旬まで様々なサクラが楽しめる。
 「桜品種見本園」には、祇王寺祇女桜など50品種が植えられている。「桜立体標本」は、樹齢80年(1924-1996)で枯死したソメイヨシノが展示されている。
◆観覧温室  観覧温室は、近代、1992年に開館した。北山連峰と金閣を取り入れたデザインによる。現在の建物は三代目になる。鉄筋造ガラス張り、一部コンクリート造。床面積は4612㎡。高さ14.8m。
 水生・食虫植物、ジャングル、砂漠・サバンナ植物、鉢物展示室、アナナス室、ラン室など4500種類、25000本の熱帯植物が展示されている。バオバブ、奇想天外、パパイヤ、カカオなども植えられている。
◆文学 ◈川端康成(1899-1972)の『古都』(1962)に鴨川とともに登場する。
 ◈立命館大学生・高野悦子(たかの えつこ、1949-1969)は、1967年5月14日、植物園で催されたクラスコンパに参加している。(『二十歳の原点序章』)
◆アニメ ◈アニメーション『京都寺町三条のホームズ』(原作・望月麻衣・秋月壱葉、監督・佐々木勅嘉、制作・アニメーションスタジオ・セブン 、2018年7月-9月、全12話)の舞台になった。第7話で登場する。


*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献・資料 『昭和京都名所図会 5 洛中』、『京都大事典』、ウェブサイト「京都府立植物園」、『親と子の下鴨風土記』、ウェブサイト「植物園よもやま話 2020年 - 京都府」、『20世紀における京都の文化と景観に関する学際的研究-下鴨・北山地域を中心に』、『京都の歴史10 年表・事典』、『京都』、ウェブサイト「三井広報委員会」、ウェブサイト「高野悦子『二十歳の原点』案内」、ウェブサイト「コトバンク」  

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京都府立植物園 〒606-0823  京都市左京区下鴨半木町 075-701-0141

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