円覚寺・水尾山寺 (京都市右京区)
Enkaku-ji Temple
円覚寺・水尾山寺  円覚寺・水尾山寺
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宝篋印塔


宝篋印塔


板碑



 水尾の清和天皇社近くに円覚寺(えんかくじ)がある。山号は粟田山(あわたざん)という。
 浄土宗、本尊は薬師如来像。
◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。
 かつてこの地には、京都七大寺のひとつである天台宗の名刹・水尾山寺(みずおさんじ)があった。
 平安時代、880年、第56代・清和天皇が水尾山寺を訪れ、終生の地と定めて仏堂造営を行う。(『三代実録』)
 881年、清和天皇は病により、鴨川東にあった粟田山荘(のちの円覚寺、東山粟田口)の仏院に移り、その地で亡くなる。背後の粟田山で火葬され、遺骨は、水尾山寺の近く(現在の清和天皇陵)に埋葬される。初七に水尾山寺を含む七寺で転念功徳が修される。(『三代実録』)
 882年、清和天皇御忌に、水尾山寺、貞観寺、円覚寺の三寺に勅使が遣わされ功徳を修した。(『三代実録』)
 室町時代、1420年、円覚寺は焼失している。寺は、清和天皇所縁の水尾山寺に移された。寺号を併称し、やがて、円覚寺の寺号のみが残ったとみられている。
 江戸時代、1679年、水尾村の大火(85軒中82軒被災)により焼失した。(「松尾家文書」)
 1776年、里人により再建されている。
清和天皇 平安時代前期の第56代・清和天皇(せいわ てんのう、850-881)。惟仁(これひと)。水尾帝(水尾天皇)、水尾御門とも呼ばれた。第55代・文徳天皇の第4皇子、母は藤原良房の娘・明子(あきらけいこ、染殿皇后)。良房の染殿邸に生まれた。850年、兄の3親王(惟喬、惟条、惟彦)を差し置き、生後8カ月で立皇太子になる。858年、9歳で即位し、後見した外祖父・良房が人臣(臣下)最初の摂政になる。(正式には866年以降)。866年、応天門の変が起こり、大伴家が没落する。良房が権勢を誇る。876年、天皇は27歳で基経の妹・女御・藤原高子との間の3カ月の貞明(さだあきら)親王(第57代・陽成天皇)に譲位した。以後、藤原北家良房一門の権勢は確立された。879年、出家し、素真と称した。清和院(旧染殿邸)に移る。良房の養子・基経の粟田山荘(後の円覚寺)で落飾する。畿内巡幸の旅へ出る。棲霞観(清凉寺)に住み、天台宗の名刹・水尾山寺に入寺したという。勅命により「貞観格式」が編まれた。880年、粟田山荘に移り没した。 
 金戒光明寺裏山に火葬塚があり、経塚とされている。嵯峨水尾山(水尾山陵)に葬られた。僧の身になった天皇は生前に、陵墓を造営しないようにと遺詔している。 
 後世、武門の棟梁となる清和源氏の始祖とされた。
◆貞純親王 平安前期の皇族・貞純親王(さだずみ しんのう、?-916?)。清和天皇の皇子。母は中務大輔・棟貞王(むねさだおう)の娘。四品。873年、親王宣下を受け、中務卿、兵部卿、上総・常陸・上野太守常陸太守を歴任。人々の夢に一条大宮の桃園池に住む竜として現れ「桃園親王」と呼ばれたという。(『尊卑分脈』)。25歳で諸国に仏像1万3000体を安置したという。源能有の娘との間に生まれた経基王は清和源氏の祖とされる。
◆仏像・木像 本堂に、清和天皇の持念仏という薬師如来像、衣冠束帯の清和天皇坐像、清和天皇位牌、十二神将像、毘沙門天像などが安置されている。
 等身大の「薬師如来坐像」は、平安時代後期(11世紀後半-12世紀)の作による。やや頭部が大きく、全体に粗削り風になる。頭部前面に螺髪があり、背面は粗削りにとどめ、螺髪も省かれている。定朝様、素木造。
 貞観寺(じょうがんじ、伏見区)より遷されという「観音立像」、禅門寺(ぜんもんじ)より遷されたという「阿弥陀坐像」を安置する。 
◆文化財 清和天皇陵内にあった十三石塔、梵字種子拓本断片がある。
◆宝篋印塔 境内に清和源氏の祖・貞純親王の供養塔という石造の宝篋印塔が立つ。南北朝時代作とされる。笠隅飾りはやや外へ反る。基礎側面四方に格狭間、福弁反花、塔身に月輪型の蓮華座に四仏が彫られている。相輪上部は一部欠ける。高さ1.3m。花崗岩製。
 源頼義(988-1075)、為義(1096-1156)、義朝(1123-1160)など源氏一族の供養塔がある。いずれも粟田・円覚寺より遷されたという。
◆清和天皇陵 水尾山の中腹に、清和天皇水尾山陵がある。 
◆年間行事 六斎念仏(8月16日)。円覚寺六斎念仏保存会により六斎念仏(重要無形民俗文化財)が行われている。念仏の詠唱を行う念仏六斎になる。芸能六斎とは異なり、空也堂系の本来の念仏形とされる。鉦を用いるため、「水尾の鉦講(しょうこう)」とも呼ばれる。六斎念仏は、念仏講保存会が奉納する。

*普段は非公開。
*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。

*参考文献 案内板、『京都府の歴史散歩 上』『京都・山城寺院神社大事典』『歴代天皇125代総覧』『京都大事典』『昭和京都名所図会 4 洛西』『京都の寺社505を歩く 下』『続 古佛』、ウェブサイト「コトバンク」

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境内背後の愛宕山山頂

【参照】境内近くからの景観

【参照】清和天皇水尾山陵、標高300mの木立の中にある。天皇の遺骨が葬られている。
円覚寺 〒616-8465 京都市右京区嵯峨水尾宮ノ脇町58   075-861-2795
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