哲学の道 (琵琶湖疏水分線) (京都市左京区) 
Tetsugaku no Michi (Philosopher's Walk)
哲学の道 哲学の道
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「哲学の道」の石碑


哲学の道沿いにある「幸せ地蔵尊」、みろく院


橋本関雪記念館(白紗村荘)




ユキヤナギ


サクラ
 「哲学の道(てつがくのみち)」は、琵琶湖疏水分線西に沿った、南の若王子橋-北の銀閣寺橋(1.8km)までの散策道をいう。疏水分線は、市内を流れるほかの河川とは逆に、南から北へ流れている。
 道は、春はサクラ、初夏はホタル、秋は紅葉の名所になっている。
 哲学の道は「日本の道100選」「京都の自然200選」に選ばれている。「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン 1つ星観光地」(改訂第4版)に選ばれている。
◆歴史年表 近代、1890年、琵琶湖疏水の完成後は、琵琶湖疏水分線は水道原水を送っていた。
 現代、1963年、整備され、現在の哲学の道の下に導水管が通された。その後、疏水を流れる水量が減る。一時は疏水の埋め立て、道路を通す計画もあった。その後、遊歩道として再整備された。
 1970年、11月、京都市が哲学の道(若王子橋-第2寺ノ前橋)を開設した。
 1971年、4月、哲学の道は銀閣寺橋まで延伸される。
 1981年、5月、西田幾多郎の歌碑が哲学の道沿いに立てられる。
 1986年、哲学の道は、建設省・「道の日」実行委員会により「日本の道100選」に選定された。
 1992年、哲学の道は、「京都の自然200選選定委員会」の審議により、「京都の自然200選動物部門」に選定された。
◆西田幾多郎 近代の哲学者・西田幾多郎(にしだ-きたろう、1870-1945)。石川県の生まれ。金沢・高等中学(後の第四高等学校)で同級に鈴木大拙がいた。同校を中退する。1894年、東京大学哲学科選科卒業。1896年、金沢・第四高等学校講師、後に教授に就任した。1909年、学習院教授になる。近衛文麿らが影響を受けた。幾多郎は、参禅し、T.H.グリーン、W.ジェームズの哲学に学ぶ。1910年以後、京都帝国大学で倫理学、宗教学、1914年、哲学科の教授になる。1928年、退官後、「場所的論理と宗教的世界観」を完成させた。1940年、文化勲章を受賞した。
 若い頃より禅に関心を寄せ、禅師を訪ねる。妙心寺で参禅し、金沢・臥龍山雲門老師にも参じ続けた。『善の研究」(1911)を刊行し主意主義に立つ。『働くものから見るもの』(1927)で、西洋哲学の「場」と、仏教(禅)、儒教などの東洋思想の「無」とを統合した。「場所」「絶対無」「絶対矛盾的自己同一」など、「西田哲学」体系を構築し、田辺元とともに京都学派をなした。
 墓は妙心寺・霊雲院(右京区)にある。
◆哲学の道
 哲学の道の名の由来は、京都大学教授・西田幾太郎 (にしだ-きたろう、1870-1945)に因む。「西田哲学」として、著書『善の研究』で知られ、「京都学派」の創始者になる。
 京都大学教授・経済学者・河上肇(かわかみ はじめ、1879-1946)、哲学者・田中美智太郎(1902-1985)、哲学者・和辻哲郎(1889-1960)らもこの道を思索したという。
 「哲学の道」は当初、琵琶湖疏水分線の巡回用の細い道に過ぎなかった。その後、疏水の東にある小道が、ドイツ・ハイデルベルクの「哲学者の道 (Philosophenweg)」に似ていたことから「哲学の道」と名付けられた。
 ドイツ最古の大学が設立されたハイデルベルクでは、ネッカー川を挟み対岸に哲学者の道があった。カント(1724-1804)、ヘーゲル(1770-1831)、大学人らも散策した。
 この「哲学者の道」に倣い、疏水沿いの両道を「哲学の道」として総称するようになったともいう。また、太平洋戦争末期に学徒出陣した京大医学部の学生が、「哲学者の道」から名付けたともいう。
 哲学の道の途中に、西田幾太郎歌碑「人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行なり」が立つ。1981年5月に立てられた。閃緑岩(鞍馬石)
◆文学 近現代の小説家・田宮虎彦(1911-1988)の『卯の花くたし』(1954)、『琵琶湖疏水』(1949)、『鹿ヶ谷』(1951)に疏水界隈が登場する。田宮は三高時代(1930-1933)を京都で過ごし、その後、東大に進学した。
 作品には、戦争前夜の閉塞した状況下で、「私」という青年の心情が自伝的要素を含み描かれている。
◆映画 銀閣寺道は、現代劇映画「噂の女」(監督・溝口健二、1954年、大映)、現代劇映画「いちげんさん」(監督・森本功、1999年、スカイプランニング、ホリプロ)の舞台になる。視覚障碍者の京子(鈴木保奈美)が恋人と散策する。
◆関雪桜・植物 琵琶湖疏水の両岸には、450本のソメイヨシノなどのサクラ並木がある。
 そのうちの半数(12本とも)は、「関雪桜」と呼ばれている。1922年に、日本画家の橋本関雪の妻・ヨネ(米子)により寄贈され、植栽された。関雪は、画壇で成功したお礼に、妻と相談して植えたといわれている。なお、橋本関雪記念館(白紗村荘)も銀閣寺道近くにある。
 ほかに、ツツジ、トベラ、ウバメガシ、カエデなどの植栽がある。
◆自然 疏水一帯は、幼虫がアシブトシリアゲアリと共生関係にある珍蝶のキマダラルリツバメの生育地になっている。特異な生態で知られている。蝶の幼虫はクロマツ、アカマツの老木にあるアリの巣に運ばれる。アリは口移しに幼虫に餌を与える。幼虫はアリに蜜を出して与える。
 ゲンジボタル(京都市指定天然記念物)の生育地にもなっている。川には餌になるカワニナが生息し、増水などがない管理された川であることも幸いしている。毎年5月下旬-6月にかけてホタルを見ることができる。ヘイケボタルもいるという。ただ、近年数が減っている
◆アニメ ◈アニメーション『七人のナナ』(原作・監督・今川泰宏、制作・A・C・G・T、2002年1月-6月、全25話)の舞台になった。「鈴木ナナ」、「小野寺瞳」が登場する。
 ◈アニメーション『けいおん!(第1期)』『 けいおん!!(第2期)』(原作・かきふらい 、監督・山田尚子、制作・京都アニメーション、第1期2009年4-6月、第2期2010年4月-9月、第1期全14話、第2期全27話)の舞台になった。第5話で登場する。
 ◈アニメーション『四畳半神話大系』(原作・森見登美彦、監督・湯浅政明、制作・マッドハウス、 2010年4月-7月、全11話)の第5話「ソフトボールサークル『ほんわか』」で、哲学の道、大豊橋などに「私」、「小津」が登場する。


*参考文献 『京都大事典』『昭和京都名所図会 2 洛東 下』『京都絵になる風景』『京都の自然ふしぎ見聞録』『京都シネマップ 映画ロマン紀行』『京都 神社と寺院の森』 、ウェブサイト「アニメ旅」、ウェブサイト「コトバンク」


琵琶湖分線  琵琶湖疏水   白沙村荘・橋本関雪記念館  銀閣寺  法然院     南禅寺  霊雲院〔妙心寺〕    

サクラ
 

ミツマタ

疏水、ゲンジボタル

【参照】ゲンジボタル(オス)

カキ

冬、ナンテン

西田幾太郎歌碑「人は人 吾はわれ也 とにかくに 吾行く道を 吾は行なり」
map 哲学の道 京都市左京区
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