折上神社 (折上稲荷神社) (京都市山科区) 
Origami-jinja Shrine
折上神社  折上神社
50音索引,Japanese alphabetical order  Home 50音索引,Japanese alphabetical order  Home

















摂社、三九郎神社








弁財天社、札辻大明神社







玉房大明神社



稲荷塚、五社稲荷大神





京都市遺跡の「中臣群集墳跡」の石標

中臣群集墳跡の円墳

  稲荷塚ご利益めぐり


1.五社大明神





2.カシの神木



3.泰吉大神



4.小子利(おこり)さん



5.金森大明神



6.福一・富士春・春崎・玉光・玉重大神



7.荒御霊の神木
  折上神社(おりがみ-じんじゃ)は、かつての折上森(降衣森)に祀られている。「折上稲荷神社」、「山科稲荷」、「栗栖稲荷(栗栖野稲荷)」とも呼ばれた。
 境内は伏見稲荷大社、稲荷山の東にあり、「伏見稲荷奥の宮」とも呼ばれ、伏見稲荷大社との関わりが深いという。養蚕稲荷とされる。旧村社。 
 祭神は、倉稲魂神(うがのみたまのかみ)、保食命(うけもちのみこと)、稚産霊神(わかむすびのかみ)を祀る。
 養蚕守護、働く女性の守護神、女性の商売繁盛の祈願所として知られる。「折上」が「織上げ」に通じるとして、西陣の織物業者の信仰もある。良縁祈願、悪縁封じ、浮気封じ、美しい髪、心の病平癒の信仰も集める。ストレス除け、脳梗塞、癌封じ、心筋梗塞封じのお守りも授与される。御朱印が授けられる。
 三九郎稲荷に祀られている3匹の白狐は、人が生きる上での「三苦(お金、人間関係、健康)」が報われるとされる。
◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。
 かつて、稲荷塚には、稲荷神の前身、祖先神(田の神)が祀られた聖地という。(社伝)
 奈良時代、711年、女帝の第43代・元明天皇の創建ともいう。稲荷塚に稲荷大神が降り、伏見稲荷と共に最古の稲荷神とされた。(社伝)
 712年、伏見稲荷の大神(おおかみ)が降臨した際に、西の山(後稲荷山)の三ヶ峯の次に降りたのが、「折上の森」の稲荷塚ともいわれる。
 延喜年間(901-923)、第60代・醍醐天皇の山科行幸に際して、伏見稲荷の分霊を遷したともいう。
 江戸時代、第121代・孝明天皇(在位:1846-1867)は、大嘗祭に際し長橋局(ながはしの-つぼね)を遣わした。女官の病気平癒を祈願し、長命箸を奉納した。その後、「女性守護のお稲荷さん」ともいわれた。以来、健康長命祭が行われる。
 近代、祇園の芸妓・モルガンお雪(1881-1963)も篤く信仰し、働く女性の守り神として崇敬された。
◆元明天皇 飛鳥時代-奈良時代の女帝・第43代・元明天皇(げんめい-てんのう、661-721)。名は阿閇皇女(あへのひめみこ)。阿部皇女。第38代・天智天皇の第4皇女、母は蘇我倉山田石川麻呂の娘・姪娘(めいのいらつめ)。いとこの草壁皇子の妃になり、軽(かる)皇子(第42代・文武天皇)、氷高(ひたか)皇女(第44代・元正天皇)、吉備皇女を産む。689年、草壁皇子が亡くなり、706年、文武天皇も亡くなる。子・首(おびと)皇子(第45代・聖武天皇)が幼少のため、首皇子の外祖父・藤原不比等の影響下で、707年、阿閇が前例のない即位をした。708年、和同開珎を鋳造した。710年、平城京遷都を行う。715年、元正天皇に譲位した。奈良に没した。61歳。
 『古事記』の選録、『風土記』の編纂を行う。奈保山東陵(奈良市)に葬られた。
◆醍醐天皇 平安時代前期-中期の第60代・醍醐天皇(だいご-てんのう、885-930)。源維城。京都の生まれ。父は臣籍に降下した源定省の長男、母は内大臣・藤原高藤の娘・藤原胤子。887年、父の皇籍復帰、即位(第59代・宇多天皇)により皇族に列した。890年、親王宣下、891年、敦仁に改名する。893年、立太子、897年、即位した。父の訓示「寛平御遺誡」により、藤原時平・菅原道真を左右大臣とした。901年、時平の讒言で道真を大宰権帥に左遷した。(昌泰の変)。20人ほどの女御・更衣、寛明親王(第61代・朱雀天皇)、成明親王(第62代・村上天皇)など36人の子女を儲けた。904年、中宮・藤原穏子との間の長子・保明親王を2歳で東宮とし、御息所に時平の娘・仁善子を入れた。909年、時平が没し、923年、親王も21歳で早世、仁善子の子・慶頼王を皇太孫としたが、925年、5歳で夭折した。これらは道真の怨霊の仕業と噂された。923年、道真左遷の詔を覆し、右大臣に復し贈位を行う。だが、930年、清涼殿に落雷、死者が出て病に臥した。寛明親王(第69代・朱雀天皇、保明親王の同母弟)に譲位し、出家日に亡くなる。京都に没した。46歳。
 和歌を良くし、勅撰集に採歌、家集『延喜御集』編む。905年、『古今和歌集』撰進を紀貫之らに命じた。醍醐寺の北の山科陵に葬られた。
 34年にわたる摂関を置かない親政は、時平の影響下にあり、時平は荘園整理令施行、国史『日本三代実録』完成、延喜格式の撰修も行う。後に両人の治世は「延喜の治」と呼ばれた。
◆長橋局 南北朝時代の女官・長橋局(ながはしの-つぼね、?-1352)。詳細不明。武将・三隅兼連(みすみ-かねつら)の妹。南朝初代・第96代・後醍醐天皇の皇子・満良(みつよし)親王に仕えた。1352年、山城男山の夜戦で親王を守り討ち死にしたという。
 長橋局とは、勾当内侍(こうとうのないし)の別称になる。
◆モルガンお雪 近現代の芸妓・モルガンお雪(1881-1963)。加藤ユキ、芸妓名は雪香。京都の生まれ。刀剣商の4女。家が没落し、姉が祇園でお茶屋・置屋「加藤楼」を経営し、14歳で芸妓になる。歌舞、胡弓に秀でた。1901年、19歳でアメリカ合衆国の財閥・ジョージ.デニソン.モルガンに4万円の高額で身請けされる。1904年、結婚し、アメリカ合衆国に渡る。1915年、夫没後、パリに移り社交界の花形になる。軍人・言語学者・S.タンダールとマルセーユ、ニースに住む。1938年、第二次世界大戦勃発後に京都に戻った。日本国籍に戻るのを拒んだ。戦後、1945年、キリスト教の洗礼を受け、カトリック衣笠教会の建立に寄付した。紫野で亡くなる。同聚院、鹿苑寺(金閣寺)裏のカトリックの墓地にも分骨されている。82歳。
◆伏見稲荷 境内は伏見稲荷大社、稲荷山の東にあり、「伏見稲荷奥の宮」とも呼ばれている。
 伏見稲荷大社との関わりが深いとされている。伏見稲荷大社と折上神社とはレイライン(ley line)が結ばれているという。実際には、やや南西方向になる。
 古代の遺跡群は直線的に配置されているとされる。聖地と聖地が一直線上に結ばれ、強いご利益が得られるという。
◆摂社・末社
 ◈摂社「三九郎(さんくろう)稲荷神社」は、倉稲魂命の使いの白狐3匹が祀られている。人間の三大苦労に報いる稲荷という。
 この地に折上稲荷大神が降臨した時に、神使の白狐3匹を祀った。苦労してこの地に辿り着いたことから「三苦労稲荷」と言われる。人間が生きる上での人間関係・健康・お金の「三大苦労」を除く。
 ◈「弁財天社」、「札辻大明神社」がある。
◆稲荷塚ご利益めぐり
 稲荷塚は1500年前の古墳であり、折神稲荷大明神が降臨した根本地になる。
 塚の上、周囲をめぐる28カ所の「稲荷塚ご利益めぐり」が行える。
1.「五社大明神」(子孫繁栄・家内安全の信仰を集めている。)⇒2.「カシの神木」(「聖なる木」「お告げの木」と言われている。三宅備中守内室の弥曾女[やそめ] お手植えの木という。手を当て心に浮かんだ事がお告げという。)⇒3.「泰吉大神」(家内安全。)⇒4.「小子利(おこり)さん」(子どもの真っすぐな成長・健康・悪心を直す。神木はかつて、神社の飛地に地蔵とともに鎮まっていた。道路整備のために業者が鋸[のこぎり] を入れると病になった。その後、丁寧なお祓いにより移転して祀られた。神木にはいまも鋸の刃の跡が残っているという。)⇒5.「金森大明神」(女性のお客を呼び寄せる。)⇒6.「福一・富士春・春崎・玉光・玉重大神」(男性のお客を呼び寄せる。悪縁を断ち切る。)⇒7.「荒御霊(あらみたま)の神木」(どん底から這い上がる。立ち直る。1つの幹から8枝が出ており、参る方向で7つにも見えることから「七転び八起きの神木」と言われている。)⇒8.「稲荷大神」(病気平癒・健康・家内安全。)⇒9.「折若・折光・菊一・折繁大明神」(目上の引き立てを得る。評判の向上になる。)⇒10.「ひょうたん大神」(女性の出世・玉の輿・良縁を結ぶ。モルガンお雪が熱心に参拝した。)⇒11.「お稲荷さんの授け脳」(人間の脳のような木の瘤がある。健康な脳を得る。ストレスを溜めない。創造力、学習記憶など、脳に対応する瘤の各部分を撫でてご利益を得る。)⇒12.「一心大明神」(永遠の願いを叶える。)⇒13.「加藤楼稲吉(かとうろう いなきち)」(モルガンお雪の姉・ウタが奉納した鳥居をいう。お雪への世間の批判を避けるため「加藤楼稲吉」として奉納した。「加藤楼」とは、ウタが営んでいた置屋の屋号で、稲吉は「折上稲荷」が「吉」をくれたという意味という。)⇒14.「兵吉大神」(医者いらずの神。兵吉は98歳まで一度も医者にかからずに人生を全うしたため祀られた。)⇒15.「花丸大明神」(成功者になる。試験合格する。)⇒16.「玉房大明神」(家業繁栄する。)⇒17.「飛塚大明神」(女性の思いを男性に伝える。)⇒18.「三吉大明神(災いを福に転じる。医運を吉運にする。)⇒19.「光時(ひかりとき)大明神」(眼病を治す。)⇒20.「春吉大明神」(耳の健康。)⇒21.「三一郎爾大神」(足腰の痛みを取る。)⇒22.「腰掛け石」(江戸時代末期の石で、女性の心が穏やかになる。不安を取り除く。女性が幸せになるという。長橋御局[?-1352、ながはしおつぼね] が一服した石という。モルガンお雪も座り、ご利益を得た。)⇒23.「裏参りの御座」(一生お金に困らない。かつて、塚の裏もお参りして成功した人いた。その人が独り占めし、柵で囲いほかの参拝者がお参りできないようにした。このため、罰が当たり一文無しになった。悔い改め、柵を取り除きほかの参拝者にも裏参りを勧めた。多くの人々が成功を収め、お金に困らなかった。本人も再び成功を得ることができた。)⇒24.「災害楯の石」(災害に遭わない。九死に一生を得る。石は、繁栄災難除けの方角である塚の天門北西に祀られている。1934年の室戸台風で本殿倒壊の際に、この石が盾になりご神体は無事だった。以後、当時の神主が災害除けの縁起石として祀った。)⇒25.「宝大神」(古くより株上昇・宝くじ・賭け事当選祈願の信仰が篤い。)⇒26.「金森大明神」(金神の守護を受ける。)⇒27.「白玉大明神」(安産・子授け。)⇒28.「瓢助(ひょうすけ)大神」(人の助けを受ける。人に恵まれる。元禄花見踊を作詞した竹柴瓢助[?-? ]を祀ったという。)。 
◆古墳 境内の稲荷塚(五社稲荷大神)は、古墳時代、550年頃の「中臣群集墳跡」(京都市遺跡)になる。
 周辺の栗栖野丘陵には、古墳時代の小円墳の群集墳が存在した。稲荷塚は「中臣十三塚」の一つといわれ、6世紀末-7世紀前半に造られた円墳13基があったという。この中臣遺跡の名は、中臣(藤原)鎌足(614-669)の陶原館があったとされることに因んでいる。1971年の京都橘女子大学の発掘調査では、小円墳には周濠、横穴式石室の基底部が残されていることが確認された。7世紀前半の須恵器(杯身)、埴輪片、葺石などが見つかっている。
 多くの遺蹟は破壊され、現在残るのは、折上神社境内の「稲荷塚古墳」(円墳)と、「田村の森」西方の「宮道古墳」(円墳)の2つのみになる。稲荷塚古墳は、径18m、高さ3m。
◆稲荷きつね折り上げ守り
 「稲荷きつね折り上げ守り」は、当社で授けられる。稲荷の神使である狐を、働く女性の商売繁盛・家内安全の願いを込めて、一枚の紙で折り上げている。毎年、風水に因んで前掛けの色が変わる。
 江戸時代末期、1846年の第121代・孝明天皇(1846-1867)の即位時に、仕える多くの女官が病気になった。天皇は当社に祈祷を命じた。その後、回復したため、女官達の間では「折上稲荷のご利益は折り紙付き」と言われたことに因んでいる。
 また、天皇は、今後も女官達が元気で働いてくれる様にとの願いを込めて「長命箸」を当社に奉納した。
◆祭礼 ◈「折上稲荷祭」(6月第1日曜か第2日曜日)では、土曜日は宵宮祭、日曜日は神輿巡行が行われる。
 働く女性の守り神であり、神輿は男性に混じって女性も担ぎ手になる。子ども神輿は三九郎稲荷の神輿で、子は狐の面を付けて一緒に巡行する。
 何倍ものご利益があるとされる「稲荷祭きつね折り上げ守り」が、宵宮と当日の2日間のみ授与される。
  ◈「お火焚祭(長命祭)」(11月第2日曜日)は、第121代・孝明天皇(1846-1867)に由来する。働く女性、働き頑張ってきた女性を中心に長命を願い感謝する。
 火焚き串に願いを書き、その成就と、火の霊力によりすべての不幸を焼き尽くす。当日は狐巫女による湯立て神楽、火焚き神事、その火により焼かれた病気封じの焼きいもの授与、稲荷うどんの接待もある。
◆年間行事 歳旦祭(1年間の幸せを祈願する。)(1月1日)、節分祭(祭典は神職のみ、非公開で行われ。節分祭前日、当日の2日間のみ「節分おきつね」が授与される。)(2月節分)、初午祭(稲荷の神が鎮られた日。)(2月初午の日)、三九郎稲荷祭(生きる上での三大苦労を除く。)(3月9日)、例祭(4月18日)、折上稲荷祭(6月第1日曜か第2日曜日)、お火焚祭(長命祭)(11月第2日曜日)、長命祭(家内安全、厄除開運の長命箸が授与される。)(12月13日)。


*年間行事(拝観)などは、中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献・資料 ウェブサイト「折上神社」、「稲荷塚ご利益めぐり-折上神社」、『京都大事典』、『稲荷信仰と宗教民俗』、『昭和京都名所図会 6 洛南』、『京都山科 東西南北』、『山科事典』、『掘り出された京都』、『京都のご利益めぐり』『京都の隠れた御朱印ブック』、ウェブサイト「コトバンク」


関連・周辺宮道朝臣列子墓(宮道古墳)  関連・周辺伏見稲荷大社  関連・周辺中臣遺跡  周辺朝日神社  関連歴代天皇データ    
8.稲荷大神 9.折若・折光・菊一・折繁大明神

10.ひょうたん大神

11.お稲荷さんの授け脳

12.一心大明神
13.加藤楼稲吉
加藤楼稲吉、「加藤ウタ」とある。
14.兵吉大神  15.花丸大明神

16.玉房大明神

玉房大明神
 
玉房大明神
 

17.飛塚大明神

18.三吉大明神

19.光時(ひかりとき)大明神

20.春吉大明神

21.三一郎爾大神

22.腰掛け石

23.裏参りの御座
裏参りの御座
24.災害楯の石
25.宝大神

26.瓢大神

27.白玉大明神
 
折上神社 〒607-8305 京都市山科区西野山中臣町25  075-581-1834  9:00-17:00
50音索引,Japanese alphabetical order  Home   50音索引,Japanese alphabetical order  Home  
  ©2006- Kyotofukoh,京都風光