花尻の森・江文神社御旅所 (京都市左京区)
Hanajiri-no-mori Forest
花尻の森・江文神社御旅所 花尻の森・江文神社御旅所 
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花尻の森、藪椿が多く咲き、落椿の名所になっている。


花尻の森


「江文神社御旅所」の石標


小野源太夫社


八坂皇大神守護所




地蔵尊



阿弥陀石仏、地蔵尊、石仏群



椿

 落ち椿
 八瀬の花尻、高野川に架かる花尻橋のたもとに「花尻の森(はなじりのもり)」がある。「波那志里」「花散」とも記された。
 森は江文神社御旅所(えぶみじんじゃ おたびしょ)になっている。哀話「おつう伝説」が伝えられている。
◆小野源太夫社 境内に小野源太夫社が祀られ、祭神は猿田彦神になる。
 花尻の森は、平安時代の源太夫(松田源太夫)の屋敷跡ともいう。源頼朝(1147-1199)は、寂光院に隠棲した建礼門院(1157?-?)の動静監視のために、この地に源太夫を配したという。 
◆おつう伝説・花尻の森 「花尻の森」について伝承が残されている。平安時代中期の『大和物語』145話を根拠にして様々に潤色された。物語はいつくかの変化があり、大筋は次のようになる。
 いつの頃か、大原の上野村に「おつう(於通)」という美しい娘がいた。おつうは、大長瀬で女中として働く。やがて、敦賀街道を往来する若狭の大名に見初められ愛妾になる。後に、殿に疎まれ、病を患い里に返される。
 ある時、殿の行列が村を通りがかる。正気を失ったおつうは、行列に近づき、家来に3つに斬られた。また、おつうは、行列に追いつけず、悲観して高野川に身を投げた。大原川の女郎淵に身を投げ蛇身になった。蛇身になり、殿を追い家来に斬られた。都入りする殿の行列が花尻橋に差し掛かり、大蛇が殿を襲い家来により斬られた。おつうの方が殿を嫌い、怒った殿が斬ったともいう。
 尾は高野川に捨てられた。おつうは、蛇身と化し花尻橋の淵に棲みつく。再び、殿の行列が通りかかった際に、おつうは、家来により斬られたともいう。
 その夜、村に大蛇が現れた。村人は江文神社に集まり、大蛇の通夜を行う。また、雷雨になり、悲鳴が聞こえるようになる。その後、大蛇は現れなかったという。後に、村人は大蛇の頭・胴を北の森(おつうの森)に、尾を花尻の森(江文神社御旅所)に葬った。恐れた里人は、大蛇の頭をおつうが森に、尻尾を花尻の森に埋めたともいう。
 別の物語もある。京都の女が若狭に嫁いだ。夫を恨んで逃げ、この地で投身した。やがて、大蛇になり大渕に棲みつく。大蛇は昼夜に村人を襲い、村の男女は恐れて一カ所に集まった。(「大原の雑魚寝」)。比叡山の僧が法力によりこの大蛇を退治した。後に、正月には来迎院、勝林院で大蛇退治にまつわる祭礼が行われる。大蛇に見立てた白布を天井から吊るし、太鼓や鐘の音に合わせて男女が踊った。最後に白布を切って人々に分けたという。(『山州名跡志』・「大原野女郎淵」)
 これが大原の蛇祭り(3月10日)の始まりとされる。藁で作られた蛇の頭と胴は、大原・おつうが森(乙が森)に、尾は花尻の森(5月5日)にそれぞれ祀られている。
◆小野かすみ 春から夏にかけての夜半、「小野かすみ」が発生することがある。花尻あたりに発した霞は、北上し、小塩山(金毘羅山・翠黛山の総称、大原山)の中腹を伝う。小野山より再び南下し始め、明け方には花尻付近に戻り、やがて消えるという。
 また、霞は、翠黛山、金毘羅山の谷から、北と南の二手に分かれて流れ始め、戸寺町あたりで一つになり消えるともいう。
 霞の正体は、小野小町の霊ともいう。かつて、里を悩ました大蛇(おつう)を退治した際に、大蛇は二つに斬られた。首と尾が別々に埋められたため、霧に化して一つにつながるともいう。花尻では、「朝靄」は大蛇の姿に棚引くともいわれる。
◆樹木 花尻の森には複数の椿がある。例年4月初旬には「落ち椿」が見られる。
 カヤ、ケヤキの大木がある。
◆祭礼 野村、上野が1年交替で祀る。当屋はご神体(尾)の治められた黒箱を神棚に祀り精進潔斎する。
 祭り(5月5日)には、ご神体を花尻の森に遷し、お供えをする神事が行われる。 おうつり(12月15日か16日)では、一の暗がり(午後7時頃)に、黒箱を次の当屋に送る。
◆石仏 小堂内に阿弥陀石仏坐像が安置されている。定印、無地の二重円光光背、厚肉彫、単葉蓮華座、1m、花崗岩製。
◆土井志ば漬本舗  土井志ば漬本舗は、1901年に創業した。大原の紫葉漬を「名物 志ば漬」として命名し、近郊で取れる山菜や木の芽煮などを自宅軒先で売り出した。
◆年間行事 勧請吊(蛇を表す勧請縄が張られる。)(1月10日)、江文神社御旅所(5月4日)尾の方祭(5月5日)、梅宮神社御旅所(5月5日)、おうつり(12月15日か16日)。


*年間行事(拝観)などは、中止、日時・内容変更の場合があります。

*原則として年号は西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献 『京都洛北物語』『京都の地名 検証2』『京都発見三 洛北の夢』『昭和京都名所図会 3 洛北』『史跡探訪 京の七口』『京都 神社と寺院の森』


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土井志ば漬本舗

志ば漬、案内板より

土井志ば漬本舗の裏に広がる紫蘇畑、山並みは比叡山系

高野川に迫る山伝いに霞がかかる。

大原の朝霧 
 
花尻の森・江文神社御旅所  京都市左京区大原 
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