花尻の森・江文神社御旅所 (京都市左京区)
Hanajiri-no-mori Forest
花尻の森・江文神社御旅所 花尻の森・江文神社御旅所 
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花尻の森、藪椿が多く咲き、落椿の名所となっている。


花尻の森は江文神社御旅所(5月4日)、梅宮神社御旅所(5月5日)になる。






八坂皇大神守護所
 八瀬・花尻、高野川に架かる花尻橋のたもとに「花尻の森(はなじりのもり)」がある。この小さな森は江文神社御旅所(えぶみじんじゃ おたびしょ)になっており、森には哀話「おつう伝説」が伝えられている。 
◆おつう伝説・花尻の森 「花尻の森」について伝承が残されている。物語はいつくかの変化があり、大筋は次のようになる。
 いつの頃か、大原の上野村に「おつう(於通)」という美しい娘がいた。おつうは、大長瀬で女中として働く。やがて、敦賀街道を往来する若狭の大名に見初められ、その愛妾になる。後に、殿に疎まれ、あるいは病を患い里に返される。
 ある時、殿の行列が村を通りがかった。正気を失ったおつうは、行列に近づき、家来に3つに斬られた。尾は高野川に捨てられた。また、おつうは、行列に追いつけず、悲観して高野川に身を投げた。また、おつうは大原川の女郎淵に身を投げ蛇身となる。また、ある時、都入りする殿の行列が花尻橋に差し掛かった。大蛇は殿を襲い家来によって斬られたともいう。おつうは、蛇身と化し花尻橋の淵に棲みついた。再び、殿の行列が通りかかった際に、おつうは、家来により斬られたともいう。その夜、村に大蛇が現れたため、村人は江文神社に集まり、大蛇の通夜を行う。また、雷雨になり、悲鳴が聞こえるようになる。その後、大蛇は現れなかったという。後に、村人は大蛇の頭・胴を北の森(おつうの森)に、尾を花尻の森(江文神社御旅所)に葬った。恐れた里人は、大蛇の頭をおつうが森に、尻尾を花尻の森に埋めたともいう。
 別の物語もある。京の女が若狭に嫁いだ。夫を恨んで逃げ、この地で投身した。やがて、大蛇になり大渕に棲みつく。大蛇は昼夜に村人を襲ったため、村の男女は恐れて一か所に集まった。(「大原の雑魚寝」)。比叡山の僧が法力によりこの大蛇を退治した。後に、正月には来迎院、勝林院で大蛇退治にまつわる祭礼が行われていた。大蛇に見立てた白布を天井から吊るし、太鼓や鐘の音に合わせて男女が踊った。最後に白布を切って人々に分けたという。(『山州名跡志』中「大原野女郎淵」)
 これが大原の蛇祭り(3月10日)の始まりとされている。藁で作られた蛇の頭と胴は、大原・おつうが森(乙が森)に、尾は花尻の森(5月5日)にそれぞれ祀られる。
◆源太夫 花尻の森は、平安時代の源太夫の屋敷跡ともいう。源頼朝(1147-1199)は、寂光院に隠棲した建礼門院(1157? -?) の動静監視のために、この地に源太夫を配したという。
◆小野かすみ 春から夏にかけての夜半、「小野かすみ」が発生することがある。花尻あたりに発した霞は、北上し、小塩山の中腹を伝う。小野山より再び南下し始め、明け方には花尻あたりに戻り、やがて消えるという。
 また、霞は、金毘羅山、翠黛山の谷から、北と南の二手に分かれて流れ始め、戸寺町あたりで一つになって消えるともいう。
 霞の正体は、小野小町の霊との言い伝えもある。かつて、里を悩ました大蛇(おつう)を退治した際に、大蛇は二つに斬られた。首と尾が別々に埋められたため、霧となって一つにつながるのだという。花尻では、「朝靄」は大蛇の姿に棚引くともいわれている。
◆樹木 花尻の森には複数の椿がある。例年4月初旬には「落ち椿」が見られる。
 カヤ、ケヤキの大木がある。
◆祭礼 野村、上野が1年交替で祀る。当屋はご神体(尾)の治められた黒箱を神棚に祀り精進潔斎する。祭り(5月5日)には、ご神体を花尻の森に遷し、お供えをする神事が行われる。おうつり(12月15日か16日)では、一の暗がり(午後7時頃)に、黒箱を次の当屋に送る。
◆年間行事 勧請吊(蛇を表す勧請縄が張られる。)(1月10日)、尾の方祭(5月5日)、おうつり(12月15日か16日)。


*参考文献 『京都洛北物語』『京都の地名 検証2』『京都発見三 洛北の夢』『史跡探訪 京の七口』『京都 神社と寺院の森』


   大原     関連・周辺梅ノ宮神社      関連・周辺江文神社      関連・周辺おつうの森・竜王大明神      八瀬                

地蔵尊

地蔵尊、石仏群

落ち椿


1901年に創業した「土井志ば漬本舗」。もとは大原の紫葉漬を「名物 志ば漬」として命名し、近郊で取れる山菜や木の芽煮などを自宅軒先で売り出したのが始まり。

土井志ば漬本舗の裏に広がる紫蘇畑、山並みは比叡山系

高野川に迫る山伝いに霞がかかる。
 花尻の森・江文神社御旅所  京都市左京区大原 
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