竜王大明神・おつうの森 (京都市左京区大原)
Ryuo-daimyojin Shrine
竜王大明神・おつうの森 竜王大明神・おつうの森 
50音索引,Japanese alphabetical order  Home 50音索引,Japanese alphabetical order  Home



おつうの森、竜王大明神の石碑








大原の朝霧
 大原の草生(くさお)町の寂光院へ向かう分かれ道に、小さな森がある。森の中には、竜王大明神(りゅうおう-だいみょうじん)と刻まれた石碑が立てられている。
 森はかつて「北の森」と呼ばれ、後に「おつうの森」「おつうが森(乙が森)」「お通の森」「大津森」とも呼ばれた。
◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。
◆おつう伝説・花尻の森 「花尻の森」については伝承が残されている。平安時代中期の『大和物語』145話を根拠にして様々に潤色されている。物語はいつくかの変化があり、大筋は次のようになる。
 いつの頃か、大原の上野村に「おつう(於通)」という美しい娘がいた。おつうは、大長瀬で女中として働く。やがて、敦賀街道を往来する若狭の大名に見初められ愛妾になる。後に、殿に疎まれ、病を患い里に返される。
 ある時、殿の行列が村を通りがかる。正気を失ったおつうは、行列に近づき、家来に3つに斬られた。また、おつうは、行列に追いつけず、悲観して高野川に身を投げた。大原川の女郎淵に身を投げ蛇身になった。蛇身になり、殿を追い家来に斬られた。都入りする殿の行列が花尻橋に差し掛かり、大蛇が殿を襲い家来により斬られた。おつうの方が殿を嫌い、怒った殿が斬ったともいう。
 尾は高野川に捨てられた。おつうは、蛇身と化し花尻橋の淵に棲みつく。再び、殿の行列が通りかかった際に、おつうは、家来により斬られたともいう。
 その夜、村に大蛇が現れた。村人は江文神社に集まり、大蛇の通夜を行う。また、雷雨になり、悲鳴が聞こえるようになる。その後、大蛇は現れなかったという。後に、村人は大蛇の頭・胴を北の森(おつうの森)に、尾を花尻の森(江文神社御旅所)に葬った。恐れた里人は、大蛇の頭をおつうが森に、尻尾を花尻の森に埋めたともいう。
 別の物語もある。京都の女性が若狭小浜に嫁いだ。その後、夫を恨んで逃げ、大原川で投身した。やがて、女性は大蛇になり大渕(女郎淵)に棲みつく。夫が通りかかると大蛇は、馬とともに川中の馬守淵(うまもりぶち)に引き入れようとした。夫は危うく逃れた。再び訪れた際にも大蛇が現れた。従者が石を打ち付けて大蛇を退散させる。(石籠淵(いしこぶち)。大蛇は、蛇井出村(じゃいでむら、大原井出町)の大淵池(おおぶちいけ)に潜んだ。大蛇は昼夜に村人を襲い、村の男女は恐れて一カ所に集まった。(「大原の雑魚寝(ざこね)」)。比叡山の僧が法力により大蛇を退治する。後に、正月には来迎院、勝林院で大蛇退治にまつわる祭礼が行われた。大蛇に見立てた白布を天井から吊るし、太鼓や鐘の音に合わせて男女が踊った。最後に白布を切って人々に分けたという。(『山州名跡志』・「大原野女郎淵」)
 これが大原の蛇祭り(3月10日)の始まりとされる。藁で作られた蛇の頭と胴は、大原・おつうが森(乙が森)に、尾は花尻の森(5月5日)にそれぞれ祀られている。
◆大原の蛇祭り 大原の蛇祭りは、大原の野村、上野で行われる。江戸時代後期に始まったともいう。ご神体(おつうの頭、胴)は黒箱に納められている。当屋の主は一年交代で担い、精進潔斎し黒箱を神棚に祀る。
 おつう祭りは、3月10日(現在は3月10日に最も近い日曜日)におつうの森で行われる。蛇を表す勧請縄が張られ、供え物がされる。当日の「おうつり」は、夜「一の暗がり(午後7時頃)」に次の当屋に黒箱を送る。
◆小野かすみ 春から夏にかけての夜半、「小野かすみ」が発生することがある。花尻あたりに発した霞は、北上し、小塩山(金毘羅山・翠黛山の総称、大原山)の中腹を伝う。小野山より再び南下し始め、明け方には花尻付近に戻り、やがて消えるという。
 また、霞は、翠黛山、金毘羅山の谷から、北と南の二手に分かれて流れ始め、戸寺町あたりで一つになり消えるともいう。
 霞の正体は、小野小町の霊ともいう。かつて、里を悩ました大蛇(おつう)を退治した際に、大蛇は二つに斬られた。首と尾が別々に埋められたため、霧に化して一つにつながるともいう。花尻では、「朝靄」は大蛇の姿に棚引くともいわれる。
◆年間行事 おつうの祭(現在は3月10日に最も近い日曜日)。


*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。

*参考文献・資料 『京都洛北物語』、『京都の地名 検証2』、『京都発見三 洛北の夢』、『昭和京都名所図会 3 洛北』 


関連・周辺  周辺  関連江文神社・江文寺  関連江文神社御旅所・花尻の森     
map 竜王大明神・おつうの森 〒601-1248 京都市左京区大原草生町
50音索引,Japanese alphabetical order  Home  top 50音索引,Japanese alphabetical order  Home  top
  © 2006- Kyotofukoh,京都風光