五条別れ道標(三条通/五条橋道標) (京都市山科区)  
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五条別れ道標 五条別れ道標
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道標、北面・東面


西面「願主 沢村道範」


南面「宝永四年 丁亥 十一月吉日」
 山科の御陵中内町(みささぎ-なかうち-ちょう)の旧東海道(旧三条通)沿いに、史跡「五条別れ道標(ごじょうわかれ-どうひょう)」が立てられている。石の道標は「三条通/五条橋道標」とも呼ばれている。
 道標は江戸時代前期に立てられ、東海道を大津方面から来た旅人に、京都の五条・伏見方面への近道を示していた。
◆歴史年表 江戸時代、1707年、旧11月、願主・沢村道範により道標は立てられる。
 現代、1987年、5月1日、京都市登録史跡に指定された。
◆沢村 道範  江戸時代前期-中期の大富豪・沢村 道範(さわむら-どうはん、17世紀末-18世紀初頭)。詳細不明。男性。京都・吉田界隈に住したという。大富豪であり、洛東・東海道筋に多くの道標を立てたという。
 京都周辺では、江戸時代前期に「伏見・六地蔵道標」(1703年[元禄16年]) 、「今熊野観音道道標」(1705年[宝永2年])、「五条別れ道標(三条通/五条橋道標)」(1707年[宝永4年]) 、「坂本・唐崎・白川道道標(吉田本町道標)」(1709年[宝永6年]) などがある。
◆道標 「五条別れ道標」(高さ155㎝)は、江戸時代前期、1707年旧11月に願主・沢村道範により立てられている。現代、1987年5月に、京都市登録史跡に指定された。 
 道標は「みちしるべ」とも呼ばれ、現在地から目的地への方向・距離・目的地への経由などの行先・距離が刻まれた石柱状のもので、街道の分かれ道などに立てられていた。「五条別れ」の「別れ」とは、京都独特の地名接尾語の表現であり、道の分岐点(わかれ道)を意味している。
 碑文には、北面に「右ハ三条通」、東面に「左ハ五条橋  ひがし にし 六条大仏 今ぐまきよ水 道」、南面に「宝永四年(1707年) 丁亥 十一月吉日」、西面に「願主 沢村道範」とある。
 この道標は、旧東海道を東の大津方面から来た旅人に対し、京中の三条通方面と五条・伏見方面への近道を示す役割を担っていた。東海道から別れて左(南)に折れ、渋谷越(しぶたに-ごえ、東山区)で五条大橋(下京区-東山区)方面へ出る道筋を教えていた。「ひがし」「にし」とは、東本願寺・西本願寺(下京区)を示している。「六条大仏」は「六条」「方広寺」(東山区)、「今ぐま」は今熊野観音寺(東山区)、「きよ水」は清水寺(東山区)を意味した。
 山科盆地の東海道は、御陵(みささぎ)を経て、現在地の五条別れで渋谷越と分岐した。この峠の終着は五条大橋になり、五条別れの地名由来になった。旅人は、五条から南へは近道の渋谷越・滑石越(すべりいし-ごえ)を利用し、大仏・清水へは渋谷越、今熊野観音へは滑石越を経て辿った。
 なお、「別れ」の表現としては、現在も京都市内のバス停名などに残っている。「野村別れ」・「百井(ももい)別れ」・「長谷(ながたに)別れ」・「柊野(ひらぎの)別れ」、「山田別れ」、「氷室(ひむろ)別れ」などがある。また、広島県には同様な「分れ・別れ」の表記が数多くあるという。高知県にも「分岐」「別れ(別レ)」などの表記が一部に見られるという。
 

年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
参考文献・資料 『京都の地名検証』、『京都の道標』、ウェブサイト「京都のいしぶみデータベース-京都市」、ウェブサイト「会報№48-京都市文化観光示現保存財団」、ウェブサイト「京都市指定・登録文化財-史跡(山科区)」 、ウェブサイト「レファレンス協同データベース」ウェブサイト「やましなを歩く-京都市山科区役所」、ウェブサイト「コトバンク」


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map 五条別れ道標(三条通/五条橋道標) 〒607-8414 京都市山科区御陵中内町(みささぎ-なかうち-ちょう)1   
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