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一言寺 (金剛王院) 〔醍醐寺〕 (京都市伏見区) Ichigon-ji Temple |
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一言寺 | 一言寺 |
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![]() ![]() ![]() ![]() 頼政道 ![]() ![]() ![]() 山門 ![]() 本堂 ![]() 本堂、扁額「観世音」 ![]() 本堂 ![]() 本堂、絵馬 ![]() 本堂、奥内陣 ![]() 本堂、懸仏 ![]() ![]() 賓頭盧尊者 |
一言寺(いちごん-じ)は、急な石段の上、丘陵台地にある。一言寺観音とも呼ばれる。正式には金剛王院(こんごうおう-いん)という。山号は醍醐山という。 この地は、浄土思想の発祥地の一つといわれている。 醍醐寺の塔頭、別格本山になる。国史跡醍醐寺境内に飛び地指定されている。 真言宗醍醐派の別格本山、本尊は千手観音菩薩(一言観音)を安置する。 ◆歴史年表 創建、変遷の詳細は不明。 平安時代後期-鎌倉時代初期、この地に一言寺が建立される。開基は阿波内侍(あわの-ないし)により、清水寺観音の霊告に従ったという。その後、廃される。 平安時代後期、聖賢(しょうけん、1083-1147)により、金剛王院は創建される。一言寺の跡地に建てられた。醍醐寺の境外塔頭として、醍醐三流(ほかに三宝院流、理性院流)、醍醐五門跡のひとつといわれた。 1175年、源運により西光院(さいこういん)を改め、金剛王院が再建された。 室町時代、応仁・文明の乱(1467-1477)により焼失した。(『賢深記』) 近代、1887年、金剛王院は醍醐寺の別格本山になる。 1895年、一言寺は廃される。その跡地に、醍醐山内より金剛王院の寺籍が移された。 ◆阿波内侍 平安時代後期-鎌倉時代前期の阿波内侍(あわの-ないし、?-?)。父・貴族・学者・僧侶・「黒衣の宰相」といわれた信西(藤原通憲)、母・紀二位朝子の娘。信西の子・藤原貞憲の娘、信西の孫・真阿弥陀仏ともいう。第80代・高倉天皇の中宮・建礼門院徳子の女房になる。1185年、平家滅亡後、剃髪し、大原寂光院に過した建礼門院に仕える。尼になりその最期を看取った。 ◆聖賢 平安時代後期の真言宗の僧・聖賢(しょうけん、1083-1147)。1108年、醍醐寺・三宝院の勝覚に灌頂を受け、金剛王院を創建した。小野六流のひとつ金剛王院流を創始した。 ◆本尊 ◈本堂に、本尊の「千手観音」を安置する。33年毎に開帳される秘仏になる。阿波内侍の念持仏だった。 伝承がある。ある夜、清水寺の千手観音が枕元に立ち、この地に小堂を建てたという。ご詠歌に「ただ頼め仏に嘘はなきもぞ二言言わぬ一言寺かな」とあり、二願以上の願い事は成就しない。一言一念に願えると、必ず成就するとされた。以来、「いちごんじ」「一言(ひとこと)観音」と呼ばれた。大坂商人の信仰を集めた。 ◈木像「阿波内侍像」は、江戸時代、1694年に開眼供養された。かつて、長年にわたり画像が安置されていた。 ◆建築 「本堂」は、江戸時代、1810年、文化年間(1804-1817)の建立による。擬宝珠銘に文化七年(1810年)とあった。内陣の中に、さらに土蔵造りの奥内陣がある。 ◆醍醐五門跡 「醍醐五門跡」とは、室町時代初めまで、醍醐寺座主を住僧の中より交代で出していた醍醐寺の5つの子院をいう。三宝院(灌頂院)、金剛王院、理性院(りしょういん)、無量光院、報恩院があった。 一言寺が金剛王院の寺名を継いだ。 ◆頼政道 境内参道の石段途中を横切る小道は、「頼政道」とも呼ばれているという。 平安時代、1180年、源頼政の勧めにより、以仁王(もちひとおう)は、最勝親王と自称し、平氏追討の令旨(りょうじ)を各地の源氏に発した。だが、計画が事前に発覚する。 王は頼政らと挙兵し、園城寺で頼政と合流した。その後、奈良に向かい、逢坂、山科、醍醐、日野、木幡(平尾山)、五ヶ庄の間道を経て宇治に着く。この行程が「頼政道」と呼ばれている。 頼政は平等院で戦死、王も平氏に追われ山城綺田(かばた)で討死した。 ◆樹木 ◈山門前にヤマモモ(京都市登録天然記念物)の巨木が植えられている。ヤマモモは、かつて「一言寺の梅(うめ)」とも呼ばれた。江戸時代中期の寺日記にも記され、醍醐寺に持って行き、食していたという。樹高9.2m、胸高周囲3.3m、胸高直径1m、円形樹冠は直径10m。 ◈本堂脇にコウヤマキ、サカキ、シキミがある。サクラ、紅葉も見られる。 ◆年間行事 夏季大祭(金剛王院観音供、柴灯大護摩火渡り)(8月17日)、終観音(中風除けの粥が振舞まわれる。)(12月18日)。 *年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。 *年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。 *参考文献・資料 『京都大事典』、『京都・山城寺院神社大事典』、『京都府の歴史散歩 中』、『昭和京都名所図会 6 洛南』、『京都市の指定文化財 第5集』、『京都の地名検証 2』、『京都の寺社505を歩く 下』、『山科の歴史を歩く』 、『京都 神社と寺院の森』 、ウェブサイト「コトバンク」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
![]() 鐘楼 |
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![]() 句碑 |
![]() ヤマモモ(京都市登録天然記念物) |
![]() 竹林 |
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