濡髪大明神(濡髪祠) (京都市東山区) 
Nuregami-daimyojin Shrine
濡髪大明神(濡髪祠) 濡髪大明神(濡髪祠) 
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 濡髪祠(ぬれがみ の ほこら)、濡髪大明神(ぬれがみ だいみょうじん)は、知恩院の東、華頂山の山頂近くに広がる知恩院墓地内にある。稲荷堂とも呼ばれている。祇園花街の祈願所として知られている。
 祭神は知恩院を火災から守る濡髪大明神(濡髪童子)、知恩院の守護神とされる白狐(濡髪童子)とも、知恩院の伽藍護持の荼枳尼天(だきにてん)ともいう。
 寺鎮守、水神、聖天、福神稲荷、狐変化伝承になる。縁結び、和合、良縁成就祈願の信仰を集める。特に、祇園などの花街女性の信仰があった。
◆歴史年表 創建の詳細は不明。
 江戸時代、寛永年間(1624-1645)、1633年に失火により知恩院の焼失後、3代将軍・德川家光の命により、住持・雄誉霊巌上人が再興した。この時、この地の白狐のために祠を建て知恩院の守護神として祀ったという。(寺伝)
◆狐伝承
 知恩院の再建の際に、山(御影堂とも)に棲んでいたという白狐の伝承がある。
 いくつかの逸話があるが大筋は、御影堂再建間近になり、32世・雄誉霊巌上人の説話を聴く集まりが催された。その日は雨が降っていた。上人は聴衆の中に、一人の雨に濡れた童子がいることに気づく。
 声をかけると、自分は御影堂の場所にあった穴に住んでいた白狐であり、堂の建設に伴い住居を壊された。そこで、童子に化け仕返しをしてやろうと思ってやってきた。だが、上人の説話を聴いているうちに改心したとして、目に涙をためて語ったという。
 上人は狐を憐れみ、帰りに傘を貸し、狐の神通力で寺を守護するようにと依頼した。後に、狐は傘を返しにやってきた。その傘が、現在も御影堂に飾られている「忘れ傘」だという。白狐は寺の火災からの守護を約束したという。
 上人は、白狐のために勢至堂の裏山に祠を建て祀ることにした。以来、寺の守護神として白狐を祀り、童子の濡れ髪から濡髪祠(濡髪堂)と名づけたという。濡髪祠裏には穴があり、ここより狐が出入りしていたという。いまも小さな鳥居がある。
 「忘れ傘」については、江戸時代初期の彫刻職人・左甚五郎が、水と関わりが深い傘のたとえにより、寺を火災から守る魔除けのために置いたともいう。
◆濡髪 「濡れ髪」「水に濡れる」「濡れ場」の連想により、男女の和合、夫婦和合につながった。いつの頃からか、祇園の芸舞妓の間で縁結びの信仰になった。
◆千姫 江戸時代初期の女性・千姫(せんひめ、1597-1666)。父は2代将軍・徳川秀忠、母は浅井長政の娘・江与の方(崇源院)。伏見城に生まれた。徳川、豊臣氏和親のため、1603年、7歳で豊臣秀頼の正室になる。1615年、大坂夏の陣で徳川勢の城攻めの際に篭城した。祖父・家康の命により助け出される。秀頼と側室の娘・奈阿姫(天秀尼、後の東慶寺住職)を助命嘆願し、その処刑から救う。だが、炎上落城により、秀頼と母・淀殿は自害した。側室との子・国松も殺害された。豊臣氏が滅びて関東に帰り、1616年、本多忠政の長子・忠刻と再婚した。 忠刻没後は落髪し、天樹院と称した。
 墓は知恩院にある。
◆吉子内親王 江戸時代の浄林院吉子内親王(よしこ  ないしんのう、1714-1758)。幼名は八十宮(やその みや)。第112代・霊元天皇第13皇女、生母は右衛門佐局松室敦子。1714年、生後わずか1カ月で将軍・徳川家継(6歳)と婚約する。史上最年少の将軍への権威付けをするためにの降嫁だった。1716年、納采の儀を済ませる。2カ月後に家継が死去した。史上初の武家への皇女降嫁、関東下向には至らなかった。1732年、出家し、法号を浄琳院宮(じょうりんいんのみや)といった。
 墓は知恩院にある。
◆墓 鳥居のすぐ南に、江戸時代の2代将軍・徳川秀忠の長女で才色兼備と謳われた千姫の墓がある。
 千姫墓碑の東隣に、江戸時代の第112代・霊元天皇第13皇女・浄林院吉子内親王の墓がある。
◆年間行事 お火焚き(1月25日)、例祭日(11月25日)。大明神大祭(濡髪大祭)(お火焚き修行がある。)(12月)。


*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。

*参考文献 『京都・山城寺院神社大事典』『昭和京都名所図会 1 洛東 上』『京の花街ものがたり』 『おんなの史跡を歩く』『京都大事典』『稲荷信仰と宗教民俗』『京のしあわせめぐり55』


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祠の裏側にある小さな鳥居と狐が出入りしていたという穴跡。


祇園東の芸舞妓さんが奉納した提灯。


社殿の南に隣接してある千姫の墓、墓石に刻まれた三つ葉葵紋。

浄林院吉子内親王の墓

【参照】知恩院の「忘れ傘」

 濡髪大明神 〒605-0062  京都市東山区林下町400 知恩院墓地内
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