宝蔵院 〔萬福寺〕 (宇治市)
Hozo-in Temple
宝蔵院  宝蔵院 
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扁額「宝蔵院」






寶地蔵尊




開山塔
 萬福寺の北西近くに、塔頭の宝蔵院(ほうぞういん)はある。 
 黄檗宗、本尊は釈迦牟尼。
◆歴史年表 江戸時代、1669年、鉄眼道光(てつげん どうこう)が建立した。開山は宝洲道聡という。鉄眼は中興ともいう。萬福寺開山・隠元より黄檗山内に寺地を授かり、藏板・印刷所として開かれた。
 1673年、大眉性善(だいび しょうぜん)は、創建した東林庵を宝蔵院に替えた。火災より版木を守るのに適所としたことによる。
◆鉄眼禅師 江戸時代の黄檗宗の僧・鉄眼(てつげん、1630-1682)。鉄眼道光(どうこう)、宝蔵国師。肥後国生まれ。父は、守山八幡宮社僧・佐伯浄信で後に浄土経に入ったという。13歳で真宗・海雲について出家。豊前小倉・永照寺の西吟に学ぶ。1655年、長崎・興福寺の明の渡来僧、日本黄檗宗の祖・隠元に参じて禅に改宗する。明の渡来僧で長崎・福済寺の木庵性瑫(後に2代萬福寺住職)、福聚寺の即非如一にも学ぶ。その後、隠元に付いて摂津・普門寺、山城国・萬福寺に移る。1664年頃、日本に一切経版木の無いことを憂い、1668年、一切経の木版刷りによる開版を決意する。1669年、隠元にその志を告げると、隠元は明朝版大蔵経(万暦版大蔵経、16世紀後半-17世紀)を贈った。黄檗山境内に藏版・印刷所となる塔頭・宝蔵院を建立、京都の木屋町通二条に「印房」(後の貝葉書院)を設けた。ここでは、版木の彫刻、経本の製本、頒布が行われた。事業には100人の法兄、弟子たちが携わった。その後、鉄眼は江戸に資金を募る旅に出る。各所で『楞厳経』(りょうごんきょう)などの講経活動を行い、募金を集めた。口頭禅の実践に対し、各所で真宗教徒による妨害も行われた。1670年、大坂に薬師堂を興し、瑞龍寺(鉄眼寺)の中興開山となる。1676年、木庵の法嗣。1678年、17年の歳月をかけ初刷が完成、第108代・後水尾法皇に進上した。400部が印刷され、各地の寺院に配布された。1681年、本刻(鉄眼版<黄檗版>)大蔵経)が完成する。1682年、畿内で大飢饉が起り、募金と2万人(1万人)への救済事業を行う。その活動の途上で倒れ亡くなる。「活仏」と仰がれ、荼毘に付された日、鉄眼を送る人々の数は10万人を超えたという。女性に向けて法を説いた『鉄眼禅師仮名法話』を著した。ほかに『鉄眼禅師遺録』。
◆宝洲道聡 江戸時代の黄檗宗の僧・宝洲道聡(1644-1719)。詳細不明。1669年、萬福寺・宝蔵院の開山。  
◆大眉性善 江戸時代(明)の黄檗宗の僧・大眉性善(だいび しょうぜん、1616-1673)。福建省生まれ。隠元隆琦(いんげん りゅうき)について出家、1654年、隠元に従い来日、長崎・興福寺、崇福寺、摂津・普門寺、萬福寺に移る。隠元の法嗣。
◆一切経 経文は、古来インドで生まれた。梵文で書かれた。唐代の中国の訳経僧展三蔵法師(602-664)は、これを中国語に訳している。
 一切経は、大蔵経、蔵経ともいわれる。中国における仏教経典の総集であり、経蔵(釈迦の教え)、律蔵(戒め)、論蔵(注釈、解釈集)から成る。
 鉄眼が覆刻した万暦(ばんれき)本は、明の万暦年間(1573-1620)に、柴柏大師、弟子の密蔵禅師により20年以上の歳月をかけて北蔵を改刻したものだった。全巻で6956巻あり、仏教百科事典ともいわれている。
◆文化財 「鉄眼版一切経版木」(重文)全6956巻がある。版木の材は、吉野桜を使用している。縦26cm、横82cm、厚さ1.8cmで、周辺に3cmの縁がある。
 版木の書体は明朝体であり、現在も広範に使われている書体の起源になる。また、一行20字、10行が見開きになっており、これは400字詰め原稿用紙の原形といわれている。
 一枚の片面の版木には、この400字詰が4頁分(1600字)刻されている。また、裏面も同様で、一枚の版木両面には8頁分(3200字)が刻されている。このような「黄一切経」の版木が、全部で6万枚あり、そのうちの48275枚が重文指定されている。
 明の「万暦蔵」の復刻、「続蔵経」26巻も納めている。 
 現在もなお、版木収蔵庫の一角で、版木を用いて、経本の印刷(木版印刷)、出版が行われている。初刷より現在まで、約2000部が印刷されたという。近代以降、国内のみならず、世界各国に納められている。 
 版木収蔵庫の厨子内に、鉄眼禅師像が安置されている。
◆建築 本堂裏の墓地にある江戸時代建立の開山塔(1682)は、府指定文化財になる。
◆墓 開山塔内に鉄眼道光、宝洲道聡の墓がある。 


*収蔵庫は見学できます。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。

*参考文献 『京都の禅寺散歩』『京都・山城寺院神社大事典』『事典 日本の名僧』


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開山塔、鉄眼の墓

開山塔、寶洲の墓

収蔵庫

収蔵庫

収蔵庫

収蔵庫、鉄眼禅師像

収蔵庫版木の収蔵棚、6万枚の版木が棚に収められている。

収蔵庫、木版印刷の様子

収蔵庫、刷り上がったばかりの一切経

収蔵庫、一切経の版木(26.3×86.2cm、厚さ1.8cm)、桜材、一枚の版木で片面2面4頁(裏表で4面8頁)が刷られる。

収蔵庫、一切経原書、元版
 宝蔵院 〒611-0011 宇治市五ケ庄三番割34-4   0774-31-8026
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