華厳寺 (鈴虫寺) (京都市西京区)
Kegon-ji Temple
華厳寺 (鈴虫寺) 華厳寺 (鈴虫寺) 
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80段の石段(極楽への道)が山門まで続いている。










庭園


わらじを履いた幸福地蔵、願い事一つを心に念じ、お守りを手に挟んで合掌し、住所氏名を告げ祈ると願いがかなうという。地蔵が裸足ではなく草鞋履きなのは、願い事をかなえるために各家を一軒ごと訪ねるためという。
 華厳寺(けごんじ)は、延朗寺山の中腹にある。華厳禅寺、鈴虫寺(すずむしでら)と親しまれている。山号は妙徳山という。
 臨済宗永源寺。本尊は大日如来。
 学僧・鳳潭に因み、幸福祈願、入学、開運、良縁祈願の信仰を集める。幸福地蔵は幸福祈願の篤い信仰があり、授けられる幸福地蔵のお札は家内安全、厄除の信仰を集める。
◆歴史年表 江戸時代、1723年、1722年とも、華厳宗の学僧・鳳潭(ほうたん)が、最福寺(開山・延朗)の跡地の一部に開創した。華厳宗復興のために大華厳を創建する。当初は華厳宗だった。
 近代、1868年、中興した慶厳により臨済宗に改められる。
 1912年、本堂が再建された。
◆鳳潭 江戸時代中期の華厳宗僧・学僧・鳳潭(ほうたん、1659/1654/1657-1738)。詳細不明。摂津国難波村の喜多宗伯の子。また、摂津国豊島郡池田村、越中国西礪波郡埴生村の生れともいう。12歳で上洛、16歳で出家、比叡山延暦寺安楽院・霊空(光謙とも)より得度する。比叡山での20年を経て、中国・インドに渡航を試み、幕府の対外政策により果せなかった。1704年、江戸へ下り、大聖道場で華厳を講義教学、著し、他宗の学僧と交流した。1723年、京都に大華厳寺(華厳寺)を建立する。
 黄檗宗の鉄眼道光の門下となり、隠元にも学ぶ。『扶桑続入総目録』を編纂し、黄檗鉄眼版一切経に漏れた典籍目録を整えた。八宗兼学し、大乗・小乗・顕教・密教、南都・華厳を学ぶ。中国華厳宗の二祖・智儼(ちごん)、法蔵の古義に戻ることを主張した。仏教世界観の世界地図「南瞻部洲万国掌菓之図」を作成した。
◆鳳潭の逸話 鳳潭の向学の逸話がある。鳳潭(ほうたん)が比叡山延暦寺のある経典講習会に参加した。だが、講義が難しく、日を経ると聴講者は次第に減っていった。最後には鳳潭一人だけが残される。講師はやむなく、今後の講義中止を決意した。だが、鳳潭は認めず、翌日には多くの聴講者を集めてくると約束した。
 翌朝、聴講席に鳳潭以外の人は見当たらず、鳳潭が買い求めてきた10体の伏見人形だけが並べられていた。講師が鳳潭に真意を問いただす。鳳潭は、当初の聴講者とはこれらの土偶と何ら変わらない人々だった。講師がいままで、土偶にも等しい者達に講義ができたのであれば、この新たな人形の聴衆に対しても、講義ができないはずはないと答えた。
 講師は鳳潭の言葉に感じ入り、即座に講義を続けたという。
◆仏像 本堂の本尊は平安時代作の「大日如来坐像」、鎌倉時代作の「宝冠釈迦如来像」、「鳳潭上人坐像」を安置する。
◆最福寺 最福寺は、西芳寺川の谷の入口北岸にあった。天台宗寺門派で、三井寺の延朗(1130-1208)が、平安時代後期、1176年に開いた。室町時代、1570年以来の元亀・天正の争乱の後に廃絶する。
◆文化財 本堂に隠元(1592-1673)筆「華厳寺」、鳳潭筆という聯を掲げる。
 鎌倉時代の瓦(7寸8分、23.6cm)は、西福寺遺構といわれている。
◆鈴虫 戦後、桂台厳住職が坐禅中に、スズムシの音を聴き、悟りを開く契機となったという。以後、30年にわたるスズムシの飼育が始まる。現在では、エアコンと冷蔵庫を利用し、温度と湿度を管理し、四季を通じ4000-1万匹の飼育が可能になった。
 スズムシは、バッタ目コオロギ科の昆虫で、体長は17-25mm、雑食、夜行性、古くは「マツムシ」ともいわれた。平安時代に貴族の間ですでに飼われ、江戸時代に庶民による人工飼育が始まっている。
 自然界での成虫の羽化は、7月下旬頃から始まる。9月頃まで鳴き、10月初旬に息絶える。
 虫の声に包まれた本堂では、「寿々むし」の菓子、お茶とともに、住職による「鈴虫説法」を聴くことができる。
 境内には万虫供養塚があり、秋の彼岸に虫供養が営まれている。
◆幸福地蔵 願い事がひとつだけかなうというワラジ履きの幸福地蔵が門前にある。願をかけた者の所へ出向き、願いをかなえ、救いの手を差し伸べるという。
◆庭園 庭園の「七仏の庭」は、釈迦が生まれるまでの過去仏を7石で表している。竹が植えられており、三角、四角、黒竹、黄竹などが見られる。
 紅葉の名所になっている。
◆菓子 当寺でお茶と共に茶菓子「寿々(すず)むし」が出される。落雁の中に胡麻状の紫蘇の葉が入る。
◆墓 庫裏背後の墓地に鳳潭の墓がある。
◆年間行事 万虫供養(秋の彼岸)。


*年間行事・は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。

*参考文献 『京都・山城寺院神社大事典』『昭和京都名所図会 4 洛西』「インド哲学仏教学研究 19, 2012. 3 鳳潭の生没年及び出身地に対する一考察」『京都府の歴史散歩 上』『洛西歴史探訪』『京都の地名検証』『京都の寺社505を歩く 下』『京都隠れた史跡100選』『京都のご利益手帖』『京のしあわせめぐり55』


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 華厳寺 〒615-8294 京都市西京区松室地家町31  075-381-3830  9:00-17:00
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