室生犀星 「加茂川」
Muro,Saisei
室生犀星 「加茂川」 室生犀星 「加茂川」 
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鴨川


鴨川、北山


鴨川、比叡山

 近現代の詩人・小説家・室生犀星(むろう-さいせい)には、詩『加茂川』があるる。
◆歴史年表 近代、1913年、1月、犀星は京都を訪れた。
 1919年、3月、犀星の作詩『加茂川』」が同人誌『感情』誌上に発表される。
 1934年、1月、犀星は京都を訪れ滞在した。
 1936年9月-1937年5月、犀星は京都に滞在している。
◆室生犀星
 近現代の詩人・小説家・室生犀星(むろう-さいせい、1889-1962)。本名は照道、俳号は魚眠洞。石川県金沢の生まれ。父は旧加賀藩士・小畠弥左衛門吉種、母は女中・ハル。生後まもなく、真言宗高野山派の雨宝院住職・室生真乗の内縁の妻・赤井ハツにもらわれ、私生児として届けられた。1895年、金沢市立野町尋常小学校(4年制)に入学した。1896年、真乗の養嗣子になり、室生姓を名乗る。9歳の時、実父の没後、実母は行方不明になる。1900年、金沢市立長町高等小学校(4年制)に入学した。1902年、母の命により、長町高等小学校を3年で中退し、金沢地方裁判所の給仕になる。この頃、俳句・詩に目覚め「新声」に投稿する。1906年、「政教新聞」掲載の詩で、初めて「犀星」の名を使う。 1907年、尾山篤二郎らと「北辰詩社」を結成した。金石(かないわ)登記所に配転され、地方新聞の記者を経る。1910年、20歳で詩人を志し職を辞して上京した。金沢地方裁判所の上司・赤倉勇次郎(錦風)を頼り寄宿する。その後、上京・帰郷を2回繰り返した。1912年、初期抒情詩『青き魚を釣る人』を発表する。1913年、北原白秋主宰の『朱欒(ザムボア)』に毎号掲載され、詩『小景異情』が発表される。以来、萩原朔太郎(はぎわら-さくたろう)と親交を結ぶ。1914年 、朔太郎、山村暮鳥(やまむら-ぼちょう)と「人魚詩社」を創立した。 1915年、人魚詩社より詩誌『卓上噴水』(3号で廃刊)を創刊する。1916年-1919年、朔太郎、暮鳥らと「感情詩社」を結成し、詩誌『感情』を創刊した。 1918年、『愛の詩集』を自費出版した。浅川とみ子と結婚する。『抒情小曲集』を出版した。1919年、「中央公論」に初の小説『幼年時代』、『性に眼覚める頃』、『或る少女の死まで』を掲載された。1922年、『忘春詩集』を出版した。1923年、関東大震災に遭い、家族とともに帰郷する。1926年-1932年 、金沢・天徳院寺領を借り、作庭を始めた。1927年 、親交あった芥川龍之介が自殺し、衝撃を受ける。1931年、軽井沢に別荘を新築した。1932年、新居(東京都大田区)に移る。1935年、「市井鬼もの」の『あにいもうと』(1934)で、文芸懇話会賞を受賞した。『女の図』 、『復讐』を出版した。1939年、王朝もの小説『つくしこひしの歌』を出版した。1942年、小説『泥雀の歌』を発表する。1944年-1949年、軽井沢に疎開する。1948年、日本芸術院会員になった。1955年、随筆『女ひと』を「新潮」に連載した。1957年、『杏っ子』(1956)が読売文学賞を受賞し、東宝で映画化される。1959年、『我が愛する詩人の伝記』で毎日出版文化賞を受賞し、王朝もの『かげろふの日記遺文』(1958-1959)で野間文芸賞を受賞した。1960年、 「室生犀星詩人賞」を設定した。72歳。
 抒情詩は大正期の詩壇を牽引し、小説、随筆、童話、俳句にもすぐれた作品を残しています。
 墓は金沢市野田山にある。
◆京都訪問 室生犀星は京都を何回か訪れている。記録に残るものとしては、1913年1月、1934年1月、1936年9月-1937年5月になる。
 1913年1月、犀星は京都を旅行で訪れ、旧友の本多他朔の下宿に1カ月ほど滞在した。この時、京都帝大学教授で国文学者・俳人の藤井乙男(紫影、1868-1946)の紹介で、文学者・評論家・上田敏(1874-1916)宅を訪れた。敏も当時、京都帝国大学教授の職にあった。「山のあなたの空遠く 『幸』住むと人の言ふ」(カール・ブッセ)などの訳詩で知られる。
 犀星は敏と会い、自らの文学が「相当以上に認められてゐる」ことを知って素直に喜んでいる。
◆加茂川 京都を題材にした詩には『あさ霜』『身をよせる』『加茂川』などがある。『加茂川』は、萩原朔太郎らとの同人誌『感情』(1919.3)誌上に発表されている。その後、『鳥雀集』(1930)に収録された。

室生犀星「加茂川」 

加茂川の岸に佇つとき 
わが呼吸絶ゆるがごとし。
ましてあさ瀬の蒼きゆらめきに 
こころ哀しくとどまり 
痛みゆけどもかたみに去りがたし。
きけ、枯草に雀ないており 
あさのなやみに雀啼いてをり。



*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献・資料 ウェブサイト「室生犀星記念館」、『言葉は京でつづられた。』、ウェブサイト「コトバンク」


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