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皆川淇園弘道館跡 (京都市上京区) Site of Minagawa,Kien Residence |
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皆川淇園弘道館跡 | 皆川淇園弘道館跡 |
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有斐斎弘道館(ゆうひさい-こうどうかん)の門脇に、「皆川淇園弘道館址(みながわ-きえん-こうどうかん-あと)」の石標が立てられている。 この地には、江戸時代中期-後期の儒者・皆川淇園の邸宅、私塾「弘道館」があった。 ◆歴史年表 江戸時代、1805年、皆川淇園は、自邸(中立売室町西入町)の西隣の土地を買い上げ、私塾「弘道館」を設立する。 1806年、5月、弘道館が落成した。 近代、1917年、3月、京都市教育会により石標が立てられた。寄付者は山田長左衛門による。(『京都市教育会沿革略』) 現代、2009年、弘道館跡に建てられていた数寄屋建築、庭園の取壊しの危機があった。 2013年、公益法人になり、建物、庭園が保存される。 ◆皆川淇園 江戸時代中期-後期の儒者・皆川淇園(みながわ-きえん、1735-1807)。名は愿(げん)、字は伯恭(はくきょう)、号は淇園、斎(きょうさい)、有斐斎、呑海子、通称は文蔵。京都生まれ。父・東福門院の御典医・成慶(春洞)、母・塩釜氏。9人兄弟の2番目の長男になる。弟は国学者・富士谷成章(ふじたに-なりあきら)になる。子に皆川篁斎(こうさい)。4歳-5歳の頃、父が与えた杜甫の詩をすぐに暗記したという。1748年、朝鮮通信使の来訪に際し、弟・成章と見に行き、席上で詩を唱和し、通信使を驚かせたという。父、儒者・大井蟻亭、伊藤錦里、三宅元献に学ぶ。安永-天明年間(1772-1788)、漢字の字義、易学を研究し、「開物(かいぶつ)学」を提唱した。折衷考証学で、字義を音韻によって究め、「名」によって「物」を見た。1759年より、京都・中立売室町西入町に住み、儒学を講じた。1761年、亀山藩主・松平信岑の聘に応じ賓儒になる。1764年、亀山藩、幕府の命により朝鮮通信使を枚方で遇した。1765年、産科学・賀川玄悦を助け、医書『産論』4巻をまとめる。1784年、柴野栗山、赤松滄洲らと詩社「三白社」を興した。1805年、自邸西隣に私塾「弘道館(有斐斎弘道館)」を開く。私立大学の先駆とされる。 亀山藩、平戸藩、膳所藩藩主に賓師として招かれた。「古学四大家(ほかに、岩垣竜渓、佐野山陰、村瀬栲亭)」の一人と称された。漢詩文・書画に秀でた。師・円山応挙につく。画は望月玉蟾に学び、画家・呉春、画家・岸駒、画家・長沢蘆雪、国学者・上田秋成、儒者・清田儋叟、俳人・画家・与謝蕪村などと交遊があった。1784年、筑前(福岡県)志賀島から出土した金印「倭奴国王印(漢委奴国王)」(国宝)の鑑定を行う。琵琶湖周辺で発見された更新世中期(62万-57万年前)のトウヨウゾウ(東洋象、長鼻目ステゴドン科,Stegodon orientalis)の化石鑑定も行った。著『名疇(めいちゅう)』『易学開物』など。74歳。墓は阿弥陀寺(上京区)にある。 門人3000余人あり、文人・本草学者・木村蒹葭堂(きむら-けんかどう)、「寛政の三博士」の一人・儒学者・尾藤二洲(ひととう-にしゅう)、儒学者・巌垣松苗の父・彦兵衛、随筆『甲子夜話』著者の平戸藩主・松浦静山、平戸藩主・松浦熈、丹後宮津藩主・松平宗允、膳所藩主・本多康完、亀山藩主・松平信岑などがいる。 ◆山田長左衛門 近代の富商・山田長左衛門(?-?)。詳細不明。号は永年。この地に隠宅を構えた。詩人、書家、古典籍の蒐集家としても知られた。 ◆弘道館 江戸時代、1805年に、皆川淇園は私塾(学問所)「弘道館」を開き、門人3000人を集めたという。 自邸は、「中立売通室町西入町」にあったと記されている。(『平安人物志』1768)。その西隣に弘道館は建てられている。 また、近代、1917年に、「皆川淇園宅址」(室町中長者町西)」に、「史蹟保存石標」を立てたという。(『京都市教育会沿革略』)(京都のいしぶみデータベース)。現在の石標の位置は、敷地の南側であり上長者町通側になる。 なお、2009年に、弘道館跡に建てられていた数寄屋建物、庭園の取壊しの危機があった。その後、研究者、企業人有志による保存の動きが始まる。2013年に公益法人になり、建物、庭園が保存されている。 ❊原則として年号は西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。 ❊参考文献・資料 ウェブサイト「京都市 京都のいしぶみデータベース」、有斐斎弘道館の説明板、ウェブサイト「有斐斎弘道館」、『京都大事典』『増補版 京の医史跡探訪』、ウェブサイト「コトバンク」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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