天神宮社 (京都市左京区)  
Tenjingu-sha Shrine
天神宮社 天神宮社
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 下鴨神社の参道脇、一の鳥居を過ぎた東側に天神宮社(てんじんぐう-しゃ)の小祠が祀られている。かつてこの付近には、当社の学問所「秀穂舎塾(しゅうすい-しゃ-じゅく)」の教授らが住んでいた。
 神道家・神道講釈師・玉田永教の孫・三矢田清三郎の屋敷内には、天神宮社が祀られ、通称「天満宮」と呼ばれていた。下鴨村の人々は、「天神社」、「天神さん」とも称したという。
 祭神は後に、天照大御神(あまてらすおおみかみ)、天満宮(菅原道真)を祀ったという。
◆歴史年表 江戸時代、1811年頃、賀茂御祖神社公文所司・祝(はふり)・鴨脚(鴨)秀豊は、玉田永教を私設「秀穂舎塾」の塾長に招いた。下鴨のこの地には、永教の屋敷があった。
 後に、永教の孫・三矢田清三郎(弘文、初代・玉田玉枝斎)も、秀穂舎塾の教授として下鴨に招かれた。清三郎は、前任地大坂の露天神の近くで漢学塾を開き、邸内社として天満宮を祀っていたという。清三郎は、京都移住の際に、日頃より信仰していた天神社をこの地に勧請したという。
 近代、1868年、明治新政府による神祇制度改革の影響により、清三郎は大阪に戻る。大阪で講釈師・玉田派を創設した。
 明治期(1868-1912)初頭まで、下鴨のこの付近の参道脇には、旧秀穂舎塾の教授らが住んでいたという。
 その後、京都の天満宮は神宮と合祀される。下鴨神社の旧社家らは「天神宮社」と称し、天照大御神、天満宮を祀ったという。
 現代、2036年度、斎行予定の下鴨神社第35回式年遷宮事業の一つとして、現在地に天神宮社(天神宮)は再興される。
◆玉田 永教 江戸時代中期-後期の神道家・神道講釈師・玉田 永教(たまだ-ながのり、1756-1836)。詳細不明。男性。本姓は横山、通称は主計。父・阿波徳島藩士。孫・初代・玉田玉枝斎(三矢田清三郎、弘文)。垂加神道を学び、吉田神道を学ぶ。吉田家の神学館守護職になる。1811年頃、鴨脚(鴨)秀豊に家塾「秀穂舎」塾長として招かれる。1789年-1818年頃、諸国に布教した。著『神国令』『神道講義』など。81歳。
 庶民に講談という形で神道・神話について説き全国を回った。神国日本を賞賛し、賀茂真淵(かも-の-まぶち)を「姦悪国賊」と批判した。 
◆玉田 玉枝斎 江戸時代後期-近代の神道講釈師・初代・玉田 玉枝斎(たまだ-ぎょくしゅうさい、?-?)。詳細不明。男性。本名は三矢田清三郎、弘文。父・専左衛門(永辰)。玉田永教の孫。江戸時代、大坂の露天神の近くで漢学の塾を開く。後に、京都・下鴨神社学問所の「秀穂舎塾」教授として招かれた。1868年以降、大阪に戻り、講釈師・玉田派を創設する。玉田玉枝斎として上方講釈の礎を築いたという。
◆秀穂舎 江戸時代中期、1811年頃に賀茂御祖神社公文所司・祝(はふり)・鴨脚(鴨)秀豊は、玉田永教を私設「秀穂舎塾(しゅうすい-しゃ-じゅく)」の塾長に招いた。
 「旧大絵図」によれば、塾の教授宅は、高野川畔、下川原町の旧唐崎社の土橋を渡り、下鴨神社表参道脇の鳥居を入った付近に、短冊形地割で建ち並んでいた。浅田家のほか、玉田永三郎(永教)、永教の長男・玉田専左衛門(永辰)、永辰の長男・栄助(永久)、永辰の子・三矢田清三郎(弘文)などの屋敷が建ち並んでいた。
 清三郎の屋敷・秀穂舎塾では、敷地内に天満宮が祀られていたとみられている。永教の大坂時代の儒学塾にも、天神を祀っていたという。
 京都の秀穂舎塾で読み書き・算盤などを学ぶ子どもらは、下鴨神社の摂社・比良木神社の秋祭りに献書していた。この慣わしは、現在も御火焚祭で「天満書」と称され続いている。
 近代、1868年の神職世襲廃止令により、社家制度は廃止になる。明治新政府の神祇官は、下鴨神社神職として6家を残した。教務省は、社頭での神道講義を命じる。当初は秀穂舎塾の玉田永直(千秋、後に講談家)、永久の養子・永健(後に講談家)、清三郎(弘文)、清三郎の子・永慶(長秋)らが担った。
 その後、秀穂舎塾は解散になり、教授らは講釈師玉田流を創設した。玉田派の神道講釈師は大阪講釈界で活躍する。玉田玉枝斎(永教の孫、三矢田清三郎)、玉秀斎(永教の孫)、玉芳斎(玉秀斎の子、永教の曾孫)が人気を博している。
 3代(2代ではないという)・玉田玉秀斎(加藤万次郎、1856-1919)の口演速記は、近代、1911年に小型講談本「立川文庫」を生む。


年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
参考文献・資料 駒札、ウェブサイト「下鴨神社」、ウェブサイト「北野界わい創成会」、ウェブサイト「コトバンク」


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map 天神宮社 〒606-0801 京都市左京区下鴨宮河町(みやがわ-ちょう)  
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