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西林寺 (木槿地蔵) (京都市上京区) Sairin-ji Temple |
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西林寺 | 西林寺 |
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![]() ![]() ![]() ![]() 本堂 ![]() 本堂内陣 ![]() |
玄蕃町(げんばちょう)に、小堂のみが建つ西林寺(さいりんじ)はある。創建は平安時代ともいわれ、かつて大寺を誇ったという。 木槿地蔵(もくげじぞう)とも呼ばれる。山号院号は羽休山飛行院(うきゅうさん ひぎょういん)という。 天台宗延暦寺派、本尊は地蔵菩薩(木槿地蔵)を安置する。 洛陽四十八願所地蔵めぐり(京都四十八願寺)の第19番札所、札所本尊は地蔵菩薩(木槿地蔵)。 ◆歴史年表 創建の詳細、変遷は不明。 奈良時代-平安時代、延暦年間(781-806)、慶俊僧都がこの地に咲く木槿の中に勝軍地蔵尊を感得し、本尊として安置したという。第50代・桓武天皇の勅命により、王城火伏せの寺として創建されたともいう。かつては大寺だったという。 室町時代、応仁・文明の乱(1467-1477)により焼失する。 江戸時代、寛文年間(1661-1673)、第112代・霊元天皇の命により、僧・宝山が洛外・六地蔵以外の48か寺の地蔵尊を選んだ洛陽四十八願所の霊場の一つになる。 1788年、天明の大火により焼失する。 1845年、現在の本堂が再建された。 ◆慶俊 奈良時代の僧・慶俊(けいしゅん/きょうしゅん、?-778?)。慶峻。河内国(大阪府)の生まれ。渡来系氏族葛井(藤井)氏。出家後、大安寺の入唐僧・道慈を師として、三輪、法相、華厳などを学ぶ。華厳講師、731年以降、大安寺の請経牒(しょうきょうちょう、借用申請者)、経典を写経所に貸した人物として慶峻・敬俊とある。751年、東大寺写経所目録は慶俊所持の経典中で借りたいものの名を記した。753年、大安寺仁王会講師18人中に名を連ね、法華寺文書に同寺大鎮として署名した。756年、第45代・聖武天皇の死に際し、学業を称され律師になる。766年、道鏡により排斥された。770年、復任し少僧都になる。聖武天皇の光明皇后)、藤原仲麻呂と親交あり、仲麻呂政権の崩壊で失脚した。その後、律師に返り咲く。延暦年間(782-806)、没したともいう。 勤操より受けた虚空蔵求聞持法を空海に伝えたという。京都に珍皇寺(愛當寺)を建立したという。笙の制作者としても知られた。 ◆木槿地蔵 かつての本尊は勝軍地蔵とされ、木槿地蔵(もくげじぞう)と呼ばれていた。飛鳥時代-奈良時代の伝説的な呪術者・役小角(634?- 701?)の作とされた。慶俊が愛宕山の天狗(太郎坊)の示現により感得し、木槿の草むらに見出したという。また、寺が荒廃した際に、周囲に槿の垣が築かれたことに因むともいう。勝軍地蔵は、その後の火災により焼失した。 また、奈良時代-平安時代、延暦年間(781-806)、慶俊がこの地で、朝露に乱れ咲く木槿の草むらに地蔵尊を感得した。それを安置して本尊にしたという。以後、木槿地蔵と呼ばれたともいう。 現在の地蔵菩薩像は、蓮華座に坐し、左足を下げた半跏像であり、右手に錫状、左手に宝珠を載せている。 ◆羽休山飛行院 山号は羽休山飛行院と称される。かつて、愛宕山の天狗(太郎坊)が都見物の際に、当寺の境内にあった松(天狗の松、魔王の松)で羽根を休ませたという。号はその伝承に因む。 当寺は、現在でも修験道との関わりが深い。松はその後、枯死した。 ◆木槿 木槿(むくげ)はアオイ科の落葉低木で、インド、中国が原産国になる。日本には奈良時代に中国より渡来したという。 中国語では「木槿(ムーチン)」と呼ばれ、これを音読みして「木槿(もくきん)」、また、「木槿(むくげ)」、「木槿花(もくきんか)」とも呼ばれた。「一日花」ともいわれ、唐代の詩人・白居易は「槿花一日の栄」と呼んだ。蓮に似ていることから「蓮花(はちす)」とも呼ばれ、仏花とされた。 夏から秋にかけて花を付ける。薬用、鑑賞用に使われる。茶花にも用いられる。 ◆玄蕃町 玄蕃町(げんばちょう)の町名は、安土・桃山時代-江戸時代、慶長年間(1596-1615)以降、この付近に徳川家家臣・松平玄蕃頭の邸があったことに因むという。 ◆年間行事 節分会(2月3日)、採燈大護摩供(「幸せ善哉」が振舞われる。)(11月23日)、内護摩供(12月31日)。 真言念誦行(もくげ会)(毎月23日、ただし1月、11月を除く)。 *年間行事(拝観)などは、中止・日時・内容変更の場合があります。 *年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。 *参考文献・資料 『京都市の地名』、『旧版 京のお地蔵さん』、『京都歴史案内』、『昭和京都名所図会 5 洛中』 、ウェブサイト「コトバンク」 ![]() ![]() ![]() ![]() |
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