滋野井・麩嘉 (京都市上京区)
Shigenoi (well)
滋野井・麩嘉 滋野井・麩嘉 
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「麩嘉」


菓子「麩嘉饅頭」
 御所の西南のこの地には、平安時代の初期、公家であり学者だった滋野貞主(785-852)が住んだ滋野井殿があった。
◆歴史年表 平安時代初期、この地には、公家であり学者だった滋野貞主(785-852)が住んだ滋野井殿があった。
 藤原成通(しげみち、1097-1159?)が移り住み「滋之井」と称した。
 鳥羽上皇(第74代、1103-1156)は、井戸のそばに鞠の神、精大明神の社を建立する。社は、やがて飛鳥井家が自らの邸内に勧請する。後に白峯神社(神宮)(上京区)に移され、この地の社はやがて消滅した。
 幕末期、1864年、蛤御門の変の後、京生麩の老舗「麩嘉」は麩屋町通より現在地に移転した。
◆滋野貞主 平安時代前期の公卿・学者・漢詩人・滋野貞主(しげの-の-さだぬし、785-852)。尾張守家訳の子。曾祖父は楢原東人、子の野縄子(つなこ)・奥子は第54代・仁明天皇の寵愛を受けた。798年、父のときに滋野と改姓した。807年、文章生(もんじょうのしょう)になり、821年、東宮学士になり、『内裏式(だいりしき)』の撰上に加わる。827年、良岑安世(よしみね-の-やすよ)らと漢詩集『経国集』を撰進した。831年、勅令により諸儒とともに『秘府略』 1000巻 (現存2巻) を編纂した。842年、式部大輔、参議になる。844年、自宅を慈恩寺に改め西寺別院とした。850年、正四位下に至り相模守を兼任する。『凌雲集』以下の勅撰漢詩集、『雑言奉和』に入集。68歳。
◆藤原成通 平安時代後期の公卿・歌人・藤原成通(ふじわら-の-なりみち、1097-?)。初名は宗房、法名栖蓮。権大納言・藤原宗通の4男、母は藤原顕季(あきすえ)の娘。幼少より白河法皇(第72代)、第74代・鳥羽天皇女御・待賢門院璋子に近仕した。侍従、蔵人、左中将を経て、1131年、参議、正二位になる。1156年、大納言に至る。1159年、出家した。のち正二位、大納言。1160年まで、生存確認されている。
 「中宮亮顕輔歌合」など多くの歌合、歌会に出詠した。『金葉和歌集』以下の勅撰集に入首し、家集『成通卿集』がある。有職故実に通じた。笛、馬術、早業、今様、蹴鞠の名手で『成通卿口伝日記』の著者という。
◆滋野井 滋野井殿の屋敷内には七名水の一つに数えられたという泉が湧き、「滋野井(しげのい)」と呼ばれた。
 邸には後に、蹴鞠の名手、藤原成通(しげみち、1097-1159?)が移り住み「滋之井」と称した。後に、自らも蹴鞠が得意だった後鳥羽上皇(第82代、1180-1239)は、井戸の傍に鞠の神、精大明神の社を建立した。社は、やがて飛鳥井家が自らの邸内に勧請する。後に、白峯神社(神宮)に移され、この地にあった社はやがて消滅した。
 月、日、刻の申の時、蹴鞠の神は3匹の猿となって井泉を訪れ、蹴鞠を教えたという伝承もある。 
◆京生麩 現在、かつての滋野邸の一角に、京生麩の老舗「麩嘉(ふうか)」がある。麩嘉の創業は江戸時代後期の動乱の際に資料焼失し詳細は不明という。江戸時代後期、文化・文政年間(1804-1829)の創業ともいう。御所に出入りした手形には、江戸時代、慶応年間(1865-1868)との記載が残る。
 初代は、大和屋嘉七で、代々御所に献上(禁裏御用)してきた。屋号は、「麩屋の嘉七」から命名されたという。かつて、生麩屋、湯葉屋の建ち並ぶ麩屋町通に店があった。幕末期、1864年の蛤御門の変後、現在地に移転した。
 店は、川端康成の『古都』にも登場する。
◆製法 麩は、大和朝の時代に、中国から禅僧の手によって伝わり、奈良時代には日本でも作られた。安土・桃山時代には、一般に食材として利用されている。
 麩は、小麦に含まれる良質のたんぱく質、麩質(グルテン)の固まりをいう。日本に伝えられた当初は、小麦粉を水で練り茹でていた。その後、水で洗う生麩が生まれ、さらに保存の利く焼麩が生み出された。
 小麦粉を水で2時間ほどかけて練りあげ、含まれるでんぷん質を洗い尽くし、小麦たんぱくであるグルテンを分離させる。小麦の三分の一しかグルテンは残らない。この工程で、豊かな良質の水が大量に必要になる。
 店では、かつて4つの井戸水を使ってきた。それらのうち3つまでが涸れたため、1980年に新たに掘られた地下60mの中硬水の井戸水を使っている。
 京料理を華やかに彩る食材として欠かせない生麩には、餅粉、青海苔、蓬、栗、胡麻などが用途に応じて加えられていく。繊細な細工麩は、注文に応じて様々に形作られ色づけされる。
 明治以来の菓子「麩嘉饅頭」が、店のもう一つの名物になっている。笹の葉の香に包まれ、青海苔が煉られた生麩に、甘みを抑えたこし餡が人気を博している。


*参考文献・資料 ウェブサイト「麩嘉」、ウェブサイト「コトバンク」


白峯神宮            
麩嘉 〒602-8031 京都市上京区東裏辻町413,下立売西洞院椹木町上ル  075-231-1584
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