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称念寺 (猫寺) (京都市上京区)
Shonen-ji Temple |
称念寺 |
称念寺 |
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本堂、右手にあるのが猫松

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称念寺(しょうねん-じ)は通称を「猫寺(ねこ-でら)」という。猫に限らず、動物の霊位を手厚く供養している。寺号院号は本空山無量寿院という。
浄土宗、総本山知恩院末寺。本尊は阿弥陀如来像。
かつて洛陽48願寺18番札所だった。京の通称寺霊場第3番、猫寺。
猫、犬などの動物供養の信仰を集める。
◆歴史年表 江戸時代、1606年、嶽誉が私淑した浄土宗捨世派の祖・称念を開山にした。師の名を冠し寺号は「称念寺」とした。開基は常陸国土浦城主・松平信吉になる。信吉は行阿に帰依し、その師・称念を勧請開山としたともいう。以後、松平家菩提寺として、300石の寺領を得て隆盛する。
1620年、信吉が没し、当寺に葬られた。寺紋は三ッ葵が許された。その後、衰微する。
1730年、西陣の大火により類焼している。
1755年、転法輪三条前右府が再建した。知恩院の末寺であったことから、再建資金を年賦で貸し付けられた6寺のひとつになった。
◆称念 室町時代後期の浄土宗の僧・称念(しょうねん、1513-1554)。俗姓は藤田、字は吟応(翁)、号は三蓮社縁誉。江戸/武蔵国(埼玉県・神奈川県)の生まれ。8歳で江戸・増上寺の親誉により剃髪、宗戒両脈を受けた。下総国(茨城県)飯沼・弘経寺の鎮誉に師事し浄土教学を学ぶ。江戸に天智庵を開創した。京都・黒谷に移り、1548年、青蓮院尊鎮親王の帰依により知恩院祖廟の南隣に草庵を結び、六時念仏を行う。信徒により堂舎が建てられ、念仏三昧の道場、本寺・一心院になる。掟「念仏道場七箇条」「別時念仏十一箇条」などを定めた。一心院で専修念仏に努め、亡くなる。42歳。
浄土宗捨世派(一心院流)の祖。47ほどの寺院を創立したという。京都では一心院ほかに、市原の専称庵、上嵯峨の称念寺、下嵯峨の正定院、桂の極楽寺などがある。
◆松平信吉 安土・桃山時代-江戸時代前期の大名・松平信吉(まつだいら-のぶよし、1575-1620)。通称は勘四郎。松平忠吉の長男、母は多劫姫(久松俊勝の娘)、徳川家康の甥。松平信一(のぶかず)の養子になる。1601年、土浦城に封じられ、1602年、信一の名代として江戸崎藩の事後処理にあたる。1603年、安房守に叙任された。1604年、家督相続が認められ常陸(茨城県)土浦藩主になる。1614年-1615年、大坂の陣に出陣した。1617年、高崎城に転封され、上野(こうずけ)高崎藩を経て、1619年、丹波篠山藩(兵庫県)藩主・松平(藤井)家初代になる。伊豆守に転じた。1619年、篠山城に移された。46歳。
藤井松平家3代当主。行阿に帰依した。墓は称念寺(上京区)にある。
◆本尊 本尊の「阿弥陀如来像」は、平安時代の恵心僧都(942-1017)作という。かつて民間を転々としていた。初代の時に本尊としたという。
◆猫の恩返し 猫にまつわる伝承がある。松平信吉没後、寺は松平家と疎遠になり次第に衰微する。当寺の3代・還誉は寺禄を失い、托鉢による喜捨に頼った。
愛猫家の和尚は、たとえ自らの食を削ったとしても、猫を可愛がり餌を与えた。名月の夜、托鉢を終えて寺へ戻ると、本堂前で美しい姫御前が扇をかざし舞っている。本堂の障子には、月光に照らし出された影が映っており、それは愛猫のものだった。和尚は自らの労苦にもかかわらず、踊り浮かれている猫に怒り、寺より追い出した。
姿を消した猫は、松平家の姫に憑く。姫は臨終になる。最期に、自分が亡くなれば寺に葬るようにと遺言した。数日後、猫は和尚の夢枕に立つ。猫は、明日、寺を訪れる武士を丁重にもてなすようにと告げた。夢告の通り、翌朝、松平家の武士が寺を訪れた。武士は、姫の遺言により、姫を当寺に葬るようにと伝えた。以後、松平家と復縁した寺は、以前にも増して栄えたという。
◆猫松 3代・還誉和尚が境内に、愛猫を偲んで植えたという老松「猫松」がある。夢告に猫が現れ、松の枝が本堂まで延びると大きな福をもたらすという。
一本の太い枝が横に20mも伸びている。松の形は、横より見ると猫が伏した姿になるという。
◆墓 多くの犬猫墓がある。
◆年間行事 春・秋(動物合同供養祭)。
*拝観は許可を得ること。境内での写真撮影は禁止。
*年間行事は中止・日時・内容変更の場合があります。
*年号は原則として西暦を、近代以前の月日は旧暦を使用しています。
*参考文献・資料 『京都大事典』、『京都のお寺神社謎とき散歩』、『昭和京都名所図会 5 洛中』、『京の寺 不思議見聞録』 、ウェブサイト「コトバンク」
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称念寺 〒602-8498 京都市上京区西熊町275,寺之内通浄福寺西入上ル 075-441-4519 |
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2006- Kyotofukoh,京都風光 |
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