室生犀星 「加茂川」
MURO Saisei

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室生犀星「加茂川」 

加茂川の岸に佇つとき 
わが呼吸絶ゆるがごとし。
ましてあさ瀬の蒼きゆらめきに 
こころ哀しくとどまり 
痛みゆけどもかたみに去りがたし。
きけ、枯草に雀ないており 
あさのなやみに雀啼いてをり。
 詩人で小説家の室生犀星(むろう さいせい、1889-1962)は石川県金沢市に生まれた。幼少期は不遇な家庭環境に育つ。 
 私生児として生まれ、生後まもなく近くの寺に引き取られる。その後、養嗣子となり室生姓を名乗った。金沢地方裁判所庶務課に就職し、その頃から文学に目覚めた。
◆京都訪問 犀星は京都を何回か訪れている。記録に残るものとしては、1913年1月、1934年1月、1936年9月-1937年5月。
 1913年1月、犀星は京都を旅行で訪れ、旧友の本多他朔の下宿に一月ほど滞在した。この時、京都帝大学教授で国文学者・俳人の藤井乙男(紫影、1868-1946)の紹介で、文学者、評論家の上田敏(1874-1916)宅を訪れた。上田敏も当時、京都帝国大学教授の職にあった。「山のあなたの空遠く 『幸』住むと人の言ふ」(カール・ブッセ)などの訳詩で知られる。
 犀星は上田と会い、自らの文学が「相当以上に認められてゐる」ことを知って素直に喜んでいる。
◆加茂川 京都を題材にした詩には「あさ霜」「身をよせる」「加茂川」などがある。「加茂川」は、萩原朔太郎らとの同人誌『感情』(1919.3)誌上に発表されている。その後、『鳥雀集』(1930)に収録された。


                  

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